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2007年03月03日(土) 21時56分

病気腎移植を「否定できない」と見解 徳洲会病院調査委朝日新聞

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠・泌尿器科部長(66)らが実施した「病気腎」移植の是非を検討していた同病院の調査委員会は3日、「病気腎移植を完全に否定することはできない」とする結論をまとめた。日本移植学会など関係5学会は、病気腎移植について「原則禁止」の方針を打ち出すことを決めており、判断が分かれた形となった。

調査委員会に出席した宇和島徳洲会病院の万波医師(奥)と貞島博通院長=3日午後、大阪市東淀川区で

調査委員会で、ホワイトボードを使って説明する万波誠医師

 大阪市内での会合後、記者会見した同病院の貞島博通院長によると、この日の委員会では、医学的見地から同病院で実施された11件の病気腎移植の妥当性を調べてきた下部組織の専門委員会から「医学的に問題があった」とする意見が出たことを受け、万波医師から意見聴取した。万波医師は「患者と向き合っており、教科書を見て治療しているのではない」などと、患者本位の医療行為を強調したという。

 調査委は同病院で腎臓が摘出された6件についても検討。患者の同意が得られていたことなどを理由に、3件について「適切だった」、残る3件も「容認できる」との判断を示した。メンバーからは、がんに侵された腎臓の移植について「医師一人の判断で行うのはおかしい」などの反対意見もあったが、協議の結果、「臓器提供者(ドナー)不足や透析患者の負担を考慮すれば、患者の選択権を奪うことはできない」との結論に達した。ただ、病院側としては、現在中止している病気腎移植を再開する予定はなく、学会のガイドラインがまとまれば、それを尊重するとしている。

 病気腎移植は同病院での11件を含め、これまでに42件が表面化している。同調査委は、万波医師が執刀した患者らによる臓器売買事件が昨年10月に発覚したことを受けて設置されたが、調査の過程で病気腎移植が表面化。外部の移植医らでつくる専門委員会を設けて検討を進めていた。

http://www.asahi.com/national/update/0303/OSK200703030053.html