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2007年03月03日(土) 15時50分

原発偽装推進派議員も批判読売新聞

柏崎市議会「東電への信頼崩れた」

批判の声が相次ぐ中、釈明する勝俣社長(左奥)ら=柏崎市議会で
 東京電力柏崎刈羽原発でデータ改ざんや検査の偽装工作が発覚した問題を受け、東電の勝俣恒久社長は2日、柏崎市議会と刈羽村議会の全員協議会に出席し、一連の不正行為を陳謝した。原発反対派の議員は「犯罪だ」などと痛烈に批判。原発推進派の議員からも「議員としては立場がない」などと嘆く声が相次いだ。

 勝俣社長が同市議会を訪れるのは2003年6月以来。傍聴席は多くの市民や関係者で埋まった。勝俣社長は冒頭、「地域の皆様にご迷惑とご心配をおかけしたことを深くおわびします」と壇上で深々と頭を下げた。一連の不正を02年の「総点検」で見逃したことについて問われると、「社内の空気が凍っており、コミュニケーションがとれていなかったことも原因」と述べた。

 ある議員は、勝俣社長が1月29日に市を訪れた際、その2日後に発表した不祥事にまったく触れなかった理由を追及した。「内容は一部知っていたが、ステップを踏んで説明をするつもりだった」との釈明に、質問した議員は「それがまさに東電の企業体質。何ら変わっていない」と声を荒らげた。

 原発推進派の議員からも非難の声が相次いだ。あるベテラン議員は「柏崎の繁栄を求めて(誘致を)決議したが、昨今はそれと反対に進んでいて残念。信頼は大きく崩れた」と嘆いた。別の推進派議員も「(改ざんを)『不適切な補正』として発表をする際、『まずいのではないか』と言う職員がいなかったのが問題のすべて」と訴えた。

 終了後、原発推進派議員からも非難の声が相次いだことについて、勝俣社長は「きちんと受け止め、また一から出直して信用回復に努めたい」とだけ話した。

 勝俣社長はこの後、刈羽村議会の全員協議会にも出席し、一連の不正を同様に陳謝した。

 東電では今後も不正行為について調査を続け、3月末に国などに結果を報告する。

【今年判明した柏崎刈羽原発での不正行為10件】

〈1月31日判明分〉

[法定検査での不正]

・緊急炉心冷却装置が一部故障しているのに正常 なように偽装(92年5月、1号機)

・残留熱除去系ポンプの圧力計の数値をかさ上げ (94年、3号機)

・主蒸気隔離弁の漏えい率検査で、漏えい率を小 さくする不正操作(94〜98年、1〜3号機)

・蒸気タービン性能検査で、発生しない警報を 「発生した」と検査成績書に記載(01年、7号機)

[法定検査以外の不正]

・排気筒のヨウ素濃度測定値を改ざん(95〜97年 、号機不明)

・排気筒希ガスの測定値を改ざん(95年5月、4 号機)

・原子炉熱出力を定格値内に改ざんして運転日誌 などに記載(95年8月、1号機)

〈2月28日判明分〉

・原子炉緊急停止を隠ぺい(92年2月、1号機、 法定検査以外)

〈3月1日判明分〉

・蒸気タービン性能検査で、軸のすき間の数値を 改ざん(01年、7号機、法定検査)

・ディーゼル発電機の定例試験で、試験時間など を改ざん(95年7月、3号機、法定検査以外)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/news001.htm