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2007年03月03日(土) 00時00分

知事選 五輪・情報公開争点に朝日新聞

 22日に告示が迫った知事選の争点として、石原慎太郎知事が招致をめざしている2016年の夏季五輪の是非や、都の情報公開のあり方が浮上してきた。立候補表明している建築家の黒川紀章氏は2日、選挙公約(マニフェスト)を公表、五輪招致中止を明確にした。一方、立候補の意向を固めている前宮城県知事の浅野史郎氏は、情報公開を進展させる必要性を指摘した。

 五輪招致については、黒川氏だけではなく、共産党推薦で元足立区長の吉田万三氏も「五輪中止」を掲げる。浅野氏も2日、「(五輪を)最優先で進めるべきか疑問を感じる」と発言した。

 これについて石原知事は「オリンピックに対する期待は非常に高い。オリンピックを一つの口実に踏まえて、社会資本の整備だけでなく東京に決定的に欠けているものを促進していきたい」と力をこめた。

 朝日新聞社が2月初旬に実施した世論調査では、五輪開催賛成は54%と、反対の39%を上回っている。

 情報公開については、浅野氏が2日、「都政における秘密主義というか、都庁内に『恫喝(どう・かつ)の政治』という人もいる」と述べ、情報公開を進める必要性を強調した。

 全国市民オンブズマン連絡会議による昨年3月のまとめでは、「情報公開度」は47都道府県で宮城県が全国2位と高いのに対し、都は下から3番目だった。

 同会議は交際費や入札、政務調査費などの項目について、点数化して公開度を採点した。その結果、100点満点換算で宮城県が63・3点なのに対して、都は30点だった。宮城県は鳥取県に次いで2位。都より低いのは群馬県と静岡県だけだった。

 情報公開は石原知事も意識しており、知事交際費については2月の支出分からホームページで接待場所などを公開することにした。

◆三セク不良債権「公開」 黒川氏がマニフェスト◆

 黒川紀章氏が2日発表した選挙公約(マニフェスト)は11の柱からなる。五輪招致の中止や首都機能の一部移転などを掲げ、石原知事が進める施策とは正反対の主張が並んだ。都の第三セクターの不良債権(隠れ借金)の情報公開も盛り込んだ。

 黒川氏は先月22日の出馬会見でも15の公約を掲げたが、マニフェストでより詳細な内容を盛り込んだ。新銀行東京を民間に売却▽無給で官舎や公用車は使わない▽23区を市に昇格させ、独立性を高める——なども掲げた。取材に対し、黒川氏は、「石原知事は財政再建を誇っているが、三セクの隠れ借金はまったく公開していない。それが最大のアキレス腱(けん)だ」と話した。

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000703050002