記事登録
2007年03月03日(土) 00時00分

ヒル次官補、北朝鮮へ軽水炉、議論の用意朝日新聞

 北朝鮮の核問題をめぐる6者協議の米首席代表、ヒル国務次官補は1日、朝日新聞を含む一部メディアと会見した。北朝鮮が望む軽水炉の提供についてヒル氏は、核放棄が前提としつつ「議論する用意はある」と述べ、北朝鮮に対する柔軟姿勢をいっそう鮮明にした。また、北朝鮮がいったん存在を認めたとする高濃縮ウラン計画に関して、米国は完全な情報を把握していないとの認識を明らかにした。

 ヒル氏は「北朝鮮がプルトニウムを持つ限り、軽水炉の議論をする資格はない」と述べて、核兵器に使用される可能性のある製造済みのプルトニウムの放棄を求める一方、「非核化すれば軽水炉についての議論ができる」とした。「議論の段階に入れば北朝鮮は何でも議題にできる」とも言及した。

 軽水炉をめぐっては、05年9月に採択した6者協議共同声明に「適当な時期に議論する」と盛り込まれた。米国はこの時期を「核放棄後」としたが、北朝鮮は軽水炉提供後に放棄すると主張し、対立した。ヒル氏は「核放棄後の提供」との立場を崩したわけではないが、核兵器開発に利用されかねないとして米国内で強い拒否反応がある軽水炉問題に踏み込むことで、北朝鮮の前向きな対応を引き出すことを狙ったと見られる。

 高濃縮ウランによる核開発計画は、北朝鮮が米国に02年10月に存在を認めたとされ、核問題が再燃するきっかけとなった。だが、ヒル氏が最近、情報が限定的だったと認めたことをきっかけに情報の確度を問い直す声が上がっている。

 ヒル氏は会見で「問題は計画が成功したのか、高濃縮ウランを生産したのか、どこかで中断されたのかということだ」と述べ、進展度合いまでは把握できていないことを認めた。ただ、「02年には、北朝鮮が計画に必要な機器を購入し、明らかに高濃縮ウランの生産を目指していたことを指摘した」と語り、こうした機器がどうなっているのか北朝鮮に説明を求める考えを示した。

 また、先の6者協議で開催に合意した閣僚会議に関しては「(核放棄への)全体的な時間枠を決められるかもしれない」との期待を表明した。閣僚会議は核放棄に向けた「初期段階」の措置をとる60日が経過した後に開くことになっている。ヒル氏は閣僚会議で、朝鮮半島の平和体制を南北朝鮮と米国、中国が話し合う新たな枠組みの立ち上げなどについても協議するとの見通しを示した。

http://mytown.asahi.com/usa/news.php?k_id=49000000703030002