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2007年03月03日(土) 21時28分

BBCに報道規制、上院議員推薦に絡む巨額融資疑惑で読売新聞

 【ロンドン=森千春】英公共放送BBCは2日、上院議員推薦にからむ与党・労働党への巨額融資疑惑に関して予定していた報道が、ゴールドスミス法務長官の申請を受けた裁判所の決定で差し止められたことを明らかにした。

 BBCは、放送予定だったニュースについて、「公共の利益のための正当なものだった」と主張したが、決定に沿って同日夜のニュース番組の内容を変更した。

 差し止めは、同疑惑を捜査しているロンドン警視庁が、報道内容は「取り調べに支障をきたす恐れがある」として、法務長官に手続きをとるように要請したもの。

 英国の法律では、「公正な刑事手続きの進行を妨害する恐れのある報道」を規制できる。テロなど重要事件では、この規定に基づく報道規制がしばしば行われているが、同疑惑に関連しては、初めてと見られる。

 ロンドン警視庁が、報道規制を求めたことについては、被疑者を起訴できる自信の表れとの憶測が出ている。

 同疑惑は、2005年の総選挙前に、労働党に対して計500万ポンド(約11億3500万円)を極秘に融資した実業家4人が、見返りとして上院議員に推薦されたというもの。名誉職の売買を禁止した叙勲法違反や捜査妨害の疑いで、これまでに、ブレア首相側近のルース・ターナー首相府・政府関係局長ら4人が逮捕され、首相も2度の事情聴取を受けている。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070303i113.htm