記事登録
2007年03月03日(土) 00時00分

飛行差し止め 行政訴訟も提起朝日新聞

  厚木基地の航空機をめぐる騒音訴訟で中心的な役割を担ってきた市民団体「厚木基地爆音防止期成同盟」(爆同)は2日、今年10月をめどに横浜地裁に起こす第4次訴訟で復活させる米軍機と自衛隊機の「飛行差し止め」について、従来の民事訴訟とは別に、行政訴訟も提起する方針を明らかにした。弁護団によると、全国の基地騒音訴訟で初めての試みという。

(渡辺丘)

  飛行差し止めは1、2次訴訟で求めたが、いずれも認められず、3次訴訟では「見込みがない」と賠償のみを求めた。しかし、巨額の賠償が認められても、騒音問題が解決しないことから、爆同と弁護団は飛行差し止めを復活させる方針を固めた。

  弁護団は、1次訴訟の最高裁判決(93年2月)が、自衛隊機の差し止めについて「防衛庁長官にゆだねられた権限行使の取り消し、変更や、その発動を求める請求を含むものになるから、行政訴訟での請求ができるかどうかはともかく、民事訴訟での請求は不適法」とした点に注目。4次訴訟では、民法上の人格権や環境権の侵害を理由に賠償と飛行差し止めを求める従来の基地訴訟の枠組みとは別に、行政訴訟の手続きを定めた法に基づき、行政の不作為の違法も問う方針を決めた。

  1次訴訟からかかわっている中野新弁護士は「3次の判決では、騒音軽減に根本的な努力をしなかった国の怠慢が指摘されており、行政訴訟でも何らかの答えが期待できる」と狙いを話す。

  爆同は3日から、昨年1月の見直しで新たに住宅防音工事の助成対象区域に入った茅ケ崎市や、東京都町田市を含む基地周辺の8市の住民を対象に、1万人規模の原告団結成を目標に募集を開始する。大多数は賠償のみを請求するが、100人程度が民事、行政訴訟で飛行差し止めも求める方針だ。

  ■行政訴訟■

  国や地方自治体などの行政機関と私人との間で起きた紛争を解決する訴訟。行政に侵害された個人や法人の権利や利益を救済するなどの機能を持つ。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000703030003