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2007年03月03日(土) 00時00分

元夫の元米兵逮捕 八戸女性殺害朝日新聞

 昨年7月に八戸市の線路上で燃えた車のトランクから三沢市東町1丁目、飲食店経営木村直美さん(33)の遺体が見つかった事件で、八戸署などの捜査本部は2日、米国籍の元米兵で木村さんの元夫、ウィリアム・スコット・オマリ・マカリスター容疑者(25)を死体損壊と死体遺棄の疑いで逮捕した。また、マカリスター容疑者の逮捕を妨げようとしたとして三沢市花園町5丁目、会社員森山愛容疑者(29)を犯人隠避の疑いで逮捕した。2人は容疑を全面的に否認している。

 調べでは、マカリスター容疑者は06年7月20日午前3時〜同午後11時ごろ、木村さんの遺体を乗用車のトランクに積んで八戸市鮫町のJR線路上まで運び、火を付けて放置した疑い。森山容疑者は、交際していたマカリスター容疑者の逮捕を逃れようと、警察の取り調べに対して虚偽の答えをした疑い。

 捜査本部は今後、マカリスター容疑者に対し、殺人容疑も視野に入れて調べる方針。

 県警によると、マカリスター容疑者と木村さんは三沢市で同居していた。20日未明には2人が激しく言い争っている様子が目撃されている。

 県警は捜査本部を設置し、殺人・死体遺棄事件として調べていた。

《解説》
 事件は、発生から7カ月半がたち、大きく動き始めたかに見える。だが、両容疑者は容疑を全面的に否認。容疑を裏付ける決定的な証拠も乏しい。今後の捜査次第では、公判維持が難しくなる可能性がある。

 マカリスター容疑者を巡っては、この事件とは別の刑事裁判が10月から継続している。八戸署は事件後の昨年8月、不正に入手したクレジットカードでカーナビをだまし取ったとしてマカリスター容疑者を詐欺容疑で逮捕。青森地検も起訴した。

 詐欺容疑での逮捕以来、マカリスター容疑者は半年間、身柄を拘束され続けているが、容疑は一貫して否認。弁護士は「別件事件の捜査で違法な取り調べだ」と抗議していた。

 今回、この時期に逮捕した理由について、捜査本部は「時間をかけて綿密な捜査を行い、証拠の収集を行った結果」としている。だが、これまで逮捕しなかったのは、決定的な証拠がなかったためだと、捜査関係者も認めている。

 今回の逮捕は、詐欺罪の判決を意識した印象も否めない。仮にこの春に執行猶予付きの有罪判決が出れば、国外退去処分になり、今後の捜査は難しくなるからだ。いかに容疑を裏付け、事件を解決に導くか。県警の捜査が問われることになる。

http://mytown.asahi.com/aomori/news.php?k_id=02000000703030004