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2007年03月03日(土) 00時00分

統一選に向けて公開討論会の準備進む朝日新聞

 統一地方選を前に、県内各地の青年会議所(JC)で、立候補予定者を招いての公開討論会を開く準備が進んでいる。97年の県知事選で初めて開催して以来、次第に広がってきた。JCとともに公開討論会の普及に努めてきた市民団体「リンカーン・フォーラム東北」の藤田和久代表(44)は「有権者を自立させる場に」と期待を寄せる。

 「リンカーン・フォーラム東北」は97年に発足した。全国組織の東北支部で、経営コンサルタントの藤田さんが代表を務める。97年の県知事選で初めて公開討論会を企画。以来、選挙があるたびにJCと連携して開いてきた。

 リンカーン・フォーラム形式の公開討論会は、各選挙区の立候補予定者が告示(公示)前に政策発表とテーマ討論をする。「中立公平」を旨とし、発言時間と順番、着席順などをくじ引きで決める。有権者への投票依頼は禁止。有権者が各立候補予定者の考えを知り、1票を投じる時の判断材料にしてもらうのが狙いだ。

 藤田代表は「1票に対する有権者の『自己責任意識』を高められれば、政治のレベルも上がる」と考えてきた。

 だが、現実はやっかいだ。公開討論会に必要性を感じない立候補予定者。有権者の面前で「墓穴を掘る」ことを嫌う支持者ら。そもそも政策を語る言葉を持たない立候補予定者もいた。「結局、政策ではなく義理やしがらみで選挙をしている」と感じた。

 初めての開催では、公職選挙法に抵触すると県選管からクレームがついた。「特定候補への投票依頼を禁止しているので政治活動には当たらない」と反論し、今では総務省もリンカーン・フォーラム形式を容認する。02年までに県内外の50以上の選挙で公開討論会を主催し、ノウハウが蓄積されてきた。

 藤田代表は現在も司会進行役として討論会にかかわる。今回も21日開催予定の気仙沼JC主催の公開討論会に参加する。現状について、藤田さんの認識はこうだ。「公開討論会が認知され、すそ野は広がった。第一段階はクリアしたが、有権者が自立したかといえば、道半ばですね」

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 今回の統一選で、これまでに日程が決まった公開討論会は、気仙沼JCによる県議選気仙沼選挙区のほか、佐沼JCによる22日の県議選登米選挙区、さくらJCによる27日の県議選柴田選挙区、同JCの4月12日の村田町長選の4回。おおさきJCも開催を検討中だ。

http://mytown.asahi.com/miyagi/news.php?k_id=04000000703030003