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2007年03月03日(土) 00時00分

鳥海山トイレエコ変身朝日新聞

 ∞「くさい・汚い」返上へ一歩

  遊佐町・酒田市…費用出し合う

 東北第2の高峰・鳥海山(2236メートル)の山頂公衆トイレが、垂れ流しの地下浸透式から環境配慮型に建て替えられる。山頂トイレは環境を汚しているだけでなく、登山者からも「くさい」などと不評だった。県や地元の遊佐町、酒田市のほか秋田県など周辺自治体が費用を負担する。

 ■2年かけ検討・整備

 日本海からそびえ立つ鳥海山は、美しい姿で日本百名山にも数えられる。全国から登山者が集まり、山形県側だけで年間約35万人の利用がある。

 今の山頂トイレは、遊佐町が91年に整備した。大物忌神社がある標高約2100メートルに位置し、山頂付近唯一の公衆トイレだ。登山者が集中し、ピーク時には1日で約800人(06年8月)が利用する。

 トイレの周囲は岩場で水が得にくく、強風にも見舞われる。厳しい自然環境で、し尿は運び出すのも困難だ。自然に浸透するのにまかせてきた。このため、「くさい、汚い」という苦情が町役場に寄せられていた。

 富士山などでは微生物でし尿を分解、焼却するタイプが導入された。月山(鶴岡市、西川町など)や金峰山(鶴岡市)にもバイオトイレが設置されるなど、山岳トイレは環境配慮型に移行している。

 山と高原地図の「鳥海山・月山」(昭文社)を執筆する酒田市の斎藤政広さんは「鳥海山の山頂トイレは昔のままで、整備が遅れていた。月山のバイオトイレはにおいもなく快適だ」という。

 山頂トイレの整備は2年かかる予定で、08年秋の完成を目指す。し尿を外に出さないことを前提に、厳しい自然環境に合わせたバイオトイレなどを検討中だ。

 ■80事業に国が補助

 山岳トイレの設置は全国で進んでおり、環境省は00年から、自治体や山小屋経営者を対象に、バイオトイレなど山岳トイレの工事費を約80事業に対して補助してきた。

 補助事業の条件は、設置場所が宿舎や避難小屋▽電力、上下水道、車道や林道のいずれかがない▽ごみ収集地域外▽年間登山者数が数万人以上のいずれかを満たしていればよい。

 同省国立公園課によると、バイオトイレの工事費は1台につき2千万円以上。00年ごろから、環境配慮型トイレへの移行が活発になってきたという。

http://mytown.asahi.com/yamagata/news.php?k_id=06000000703030005