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2007年03月03日(土) 00時00分

ひきこもり回復 サポーター誕生朝日新聞

 ひきこもりの若者がいる家庭を訪問し、回復の手助けをする「ひきこもり訪問サポーター」の養成事業を今年度、県が初めて行った。NPOに委託した養成講座がこの1月から始まり、約40人の受講生が、支援策などについて研修を受けた。受講生はこのほど講座を修了し、今後NPO団体などに加わり支援の輪に加わることになる。(久保智祥)
 ひきこもりは原因が多様で、回復には長期的な支援が必要。県は本人や家族の相談を受け直接的な支援をする人材を育成するため、NPO法人「若者サポートステーションいばらき」(つくば市)に講座を委託した。
 「自分に余裕がないと『甘えている』なんて口にしてしまうこともある。いつも自分を振り返る必要がある」
 土浦市内の公民館で若者サポートステーションの浅井和幸事務局長が支援者としての心構えを話す。ひきこもっている本人が外に出るきっかけとなる訪問サポートは、高い技術と経験が必要で、受講生も熱心にメモをとったり、質問したりと真剣だ。
 研修は毎週火・日曜日に計9回、延べ30時間。NPOのスタッフのほかカウンセラー、大学教授らが講師を務め、精神疾患や思春期の心理、カウンセリング、訪問の技術、個人情報の取り扱いなどを学んできた。
 受講生は20代から70代まで。常陸太田や水戸、神栖、境など県内全域から集まった。地域の民生委員や青少年育成の関係者、カウンセラー志望の大学生など様々だ。
 中には、自身もひきこもり経験があるという人もいた。30代で数カ月間ひきこもりを経験した取手市の男性(37)は「自分の経験を生かして何か力になれるのではと参加した」と話す。一時は家族関係がボロボロになり、親を殺してしまうのではと考えたこともあったというが、「専門分野の講師の話を聞いて、自分の当時の精神状況を客観的に理解できるようになった」と話す。
 修了者は県に登録され、各自でNPOなどに参加し、ひきこもり支援にあたる。カウンセラー志望の大学生の江尻飛鳥さん(22)は「研修をやればやるほど難しく、もっと経験が必要と実感した。NPOで少しずつ経験を積みたい」という。
 県保健予防課は「講座をきっかけに長く支援にかかわってもらいたい」と期待している。

http://mytown.asahi.com/ibaraki/news.php?k_id=08000000703030005