記事登録
2007年03月03日(土) 00時00分

自民 政策論争なく朝日新聞

■与党対共産の構図へ■

 ポスト片山県政で問われる課題、政策は何か。それぞれに候補者を推す政党には目指す県政像の提示が求められている。

 鳥取市の県民文化会館で1日夜に開かれた前副知事、平井伸治氏(45)=自公推薦=の「鳥取新時代を語る会」。演壇で応援弁士となった文化関係者が叫んだ。「個展を開く場所がない。(片山県政が凍結した)県立美術館を造ってほしい」。約500人の会場から拍手がわいた。壇上にいた平井氏の表情が一瞬、こわばった。

 直後の講演で平井氏は「民間美術館やギャラリーを使う工夫を考える」と県立美術館建設の議論をやんわりとかわした。

 緊縮財政の継続か、景気回復のための積極財政か。相反する二つの期待が平井氏に寄せられる中、同氏を擁立した自民党県連は知事選で明確な政策を示せずにいる。

 同党県連は当初、政策論を中心に候補選びを進める考えだった。候補選定を始めた1月上旬の選挙対策委員会で、石破茂会長は「片山県政で残る課題は何か。候補選びは名前ありきでなく、次の政策を議論する中で必要とされる知事が誰か見える」と強調していた。

 だが、実際は政策を議論する前に平井氏の名前が先行し、自民党県連は「平井氏か否か」という内部対立に。選対委で手順を踏むことで平井氏に一本化したが、「公共事業を増やすか減らすか」といった政策議論は深まらなかった。

 2月12日、自民党県連の選対委で立候補表明した平井氏は「県財政の50%以上は国の地方交付税などに依存しており、国の力添えも必要」と発言。石破会長は「国にも厳しくもの言う県政は続けてほしい」と話し、県政運営をめぐる微妙な意識差ものぞかせた。

 民主党県連が独自候補擁立を断念し、与党対共産党の構図が固まる中、政策論争を求める有権者の声もある。

 2月26日に米子市で民間団体が開き、約千人が集まった「平井伸治の熱い思いを語る会」。文化活動を通し、副知事時代を知る米子市の男性(67)は「平井氏を評価するが、もう1人ぐらいは知事選に出てほしい。政策論争が聞きたい」。女性団体で活動する米子市の女性(64)も「知事選が盛り上がるか。低い投票率では新知事は力をふるえないんじゃないか」と心配した。

 一方、共産党県委員会は新日本婦人の会県本部副会長の山内淳子氏(64)を推薦。山内氏は2日、鳥取市内でマイクを握り街頭演説を始めた。政策論争で臨む構えだ。

◆予定者説明会 2陣営が出席◆

 22日告示、4月8日投開票の知事選に向けた立候補予定者説明会が2日、県庁であり、前副知事の平井伸治氏(45)=自公推薦=と新日本婦人の会県本部副会長の山内(やまのうち)淳子(あつ・こ)氏(64)=共産推薦=の2陣営が出席した。

 説明会では、先月の公職選挙法改正を受けて知事選でもマニフェストを配れることが説明された。県内では一候補につき11万5千枚が上限で用紙はA4判の1枚もの。

http://mytown.asahi.com/tottori/news.php?k_id=32000000703030003