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2007年03月02日(金) 00時00分

美幌JR事故/巣立ちの朝、暗転朝日新聞

■衝撃・転倒「卒業式は」

 大きな衝突音が、卒業式に向かう最後の登校を阻んだ。網走支庁美幌町のJR石北線で起きた大型トレーラーとの衝突事故。51人ものけが人を出す事態となった。事故に遭った生徒はほとんどが卒業式に出られなかったが、北見北斗高校では3人だけの「ミニ卒業式」が開かれた。北見柏陽高校でも対応を考えるという。JRの復旧作業は夜間までかかった。2日は通常運行するという。

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 けがをした51人のうち、約30人が高校生だった。美幌町立国保病院にはけが人の大半が運ばれ、手当てを受けた。卒業式に出席するため列車の前方に乗っていた北見柏陽高3年の女子生徒(17)は、ふと前を見て丸太が目に飛び込んだ。

 「ぶつかる」と思った瞬間、大きな音と衝撃で座っていたいすから床に投げ出され、太ももの付け根を打った。

 周りの人も転倒していて、一緒にいた同級生もけがをした。「学校でみんなと会えるのは最後」と、卒業式を楽しみにしていたという。手当てを受け、すでに式は終わっていたが、同級生と一緒に学校に向かった。

 列車には卒業生を含む30人ほどの高校生が乗っていた。

 北見柏陽高では卒業生9人が卒業式に出席できなかった。うち1人が入院したため対応は改めて検討する。卒業生5人が事故に遭った北見北斗高では、女子生徒2人が式の後半に間に合ったが、男子生徒3人が出席できなかった。このため3人だけの「ミニ卒業式」を行い、教職員や残っていた生徒らが見送った。

 同病院には、JR北海道の小池明夫社長や、トレーラーの運転手が勤める運輸会社の社長らが、入院した乗客を見舞った。小池社長は「卒業式の日にこのような事故が起き、式に出席できなかった生徒もいて残念でならない」と話した。

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 事故現場では、午後から国土交通省の鉄道事故調査官らが現地調査を行い、道警も交通事故の調査車両などを出して調べた。

 午後5時すぎからは、散らばった丸太や大型トレーラーの撤去が始まった。JRによると、列車は運転席部分が大破し、床下部分のエンジン系が踏切に接触破損したため自力走行できない。
 このため、大型クレーンでつり上げ、踏切脇に移す作業を行った。警報機などの踏切施設の修理は残るが、2日は始発から通常運行するという。

 午後7時半現在、JRのまとめでは事故の影響で、特急列車11本、普通列車24本など、計35本が全区間または部分運休、乗客約1500人に影響が出ている。

http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000703020005