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2007年03月02日(金) 00時00分

日経人事怪文書…「不祥事幹部も復権」「役員激増」ZAKZAK

 【女性の不満】

 2月中旬の午後。東京・大手町の日経新聞本社にほど近い飲食店で、同社の人事をめぐり激論を交わす男女がいた。今回の人事で女性の所属する職場から社員1人が異動し、代わってデスククラスの男性社員が来ることになったことについて、女性が不満をぶつけているようだった。

 女性「(今度来る男性社員は)私とは合わない」

 男性「会社だから仕方ないだろう」

 女性「(男性社員の)能力では私の負担が増えるし、職場もおかしくなる」

 男性「仕事じゃないか。そこをうまくまとめてほしい」

 この光景が、今回の日経人事を象徴している気がしてならない。そして奇遇にも、この光景が繰り広げられた前後に、人事を糾弾する文書が流れたのである。

 【糾弾文書】

 日経人事は、役員が3月29日の株主総会後に正式発令となり、それ以外は1日に発令された。その人事を糾弾するA4判3枚の文書は、内示日の3日後の2月17日の消印だった。一般公表されていないような内容も含まれていることから、内部事情を知る人物が作成したものとみられる。

 夕刊フジが入手した文書ではまず、今回の人事で役員(内定者)の数が増えていることを指摘している。

 日経の有価証券報告書をみると、2003年3月末の取締役は22人。翌年度から執行役員制度を導入し、04年3月末時点の役員数は取締役11人、執行役員15人の計26人になった。

 05年3月末には取締役14人、執行役員15人の計29人となり、06年3月末は取締役13人、執行役員18人の計31人と年々増えていった。

 それが今回の人事でさらに増加。取締役が15人に増え、執行役員もこれまでの「上席執行役員」と「執行役員」の2段階から、「専務執行役員」「常務執行役員」「執行役員」の3段階となり、数も23人に増える。合わせて38人だ。

 世界トップクラスの自動車メーカー、トヨタ自動車は単体の従業員数6万7000人で、役員の数は74人(取締役25人、執行役員にあたる常務役員49人)。これに対し、日経は単体の従業員数3000人弱で38人。

 この部分だけを単純に比べると、日経の役員数は多い感じがする。

 今回の人事で役員数を増やした理由について、日経に直接聞いてみたところ、「会社経営、事業展開の必要に応じて役員人事を行っている」(広報センター)との答えが返ってきた。

 人事を糾弾する文書では、秘書室長経験者が専務や常務に昇格することについて、「情実人事が鮮明」と記している。

 【復権と指摘】

 文書ではこのほか、日経の不祥事についても言及している。

 元社員が有罪判決を受けたインサイダー取引事件に絡み、「役職を剥奪(はくだつ)された広告局幹部はほんの短期間で復権した」と指摘。

 昨年2月に責任をとる形で局長職を解任され、社長室担当付となっていた前広告局長に関しては「(子会社の)日経リサーチの常務に就任。このポストは本社の役員への待機ポストで、前任者は執行役員として本社に復帰した」と記されている。

 日経がその後発表した人事で、確かに前広告局長は日経リサーチ常務に就任。前任者は1日付で大阪本社副代表兼大阪代表室長となり、29日付で執行役員となることが内定している。

 さらに文書では、同じくインサイダー事件の責任を取って部長職を解任され、広告局長付となっていた前金融広告部長について「新プロジェクトのリーダー(部長職)に命じられた」と指摘。

 昨年12月にセクハラ問題で部長職を解任された元幹部については、「国際担当役員付になり、海外留学か海外赴任とみられている」と記されている。

 部長職を追われた2人に関する人事は公表されていないため、日経に確認したところ、こんな答えが返ってきた。

 「人事の対外発表の際は、役員・局長級について経歴を公表しているが、それ以外の人事については日本経済新聞に掲載した以上のことは原則として公表していない」(広報センター)

 企業にとって人事は本当にやっかいなものだ。

ZAKZAK 2007/03/02

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_03/t2007030215.html