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2007年03月02日(金) 03時05分

地下鉄談合、特捜部が「決別」宣言前後の資料入手読売新聞

 名古屋市発注の地下鉄工事をめぐる談合事件で、名古屋地検特捜部が、業界団体「日本建設業団体連合会(日建連)」(東京都中央区)から、「談合決別」宣言を出した前後の会議室の利用状況などを示す資料の提出を受けていたことがわかった。

 日建連の会議室では、この事件で逮捕者を出した大林組(大阪市)など大手ゼネコン3社の社長らが2005年12月、宣言をまとめる会議を開催したり、各社の役員らが業界の取り組みを決める会議を開いたりしていた。特捜部は、各社が宣言後も十分な談合防止策を取らなかったとみており、入手した資料をもとに、会議の詳しい内容を解明するものとみられる。

 関係者によると、先月上旬、特捜部の係官3人が日建連を訪れ、05年12月までの2か月間の会議室使用状況などについて常務理事らに尋ねた。日建連には会議室が三つあり、各室の利用日時や使用者名などを記した記録がパソコン内に残っているが、係官は、その記録などの資料を持ち帰ったという。

 日建連の会議室では、05年11月から12月にかけて、各社の副社長クラスの役員による会議などが数回開かれた。これらの会議を経て、12月21日午前には、大林組、鹿島(東京都港区)、清水建設(同)の3社に、大成建設(新宿区)を加えた大手4社の社長が、独占禁止法の順守を求める「談合決別」文書を決定。この文書は翌22日付で全加盟社へファクスで通知された。

 この間の会議では、「談合に対して業界として毅然(きぜん)とした態度を取ろう」などの発言があった一方で、「すでに談合で受注企業が決まった工事については、粛々と続けたい」などと談合継続をほのめかす発言が出るなど会社によって談合に対する姿勢に差があったという。特捜部では、独禁法に基づき各社の法人責任を追及するためにも、それぞれの会議の日時を特定し、出席者や発言内容を詳細に分析する。

 特捜部は今年1月、公取委と合同で、大手3社の東京都内の本社を捜索して以来、各社の社長や副社長から、決別宣言前後の業界団体や社内の取り組みに関して事情聴取を重ねてきた。

 独禁法には、社業として社員が談合を行った法人に罰金を科す「両罰規定」がある。最高額は5億円で、談合の悪質性などに応じ罰金額が変わる。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070302i101.htm