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2007年03月02日(金) 00時00分

パーティー事件発覚から1年 『説明不十分』不信消えず  東京新聞

 石阪丈一・町田市長の政治資金パーティー事件が発覚してから十日で丸一年。記者会見での市長の説明は、迷走を続けてきた。市長らの供述調書の内容が明らかになり、これまでの説明が虚偽だった疑いも浮上しているが、市長から明確な説明はなく、市民の不信感は消えていない。公約の「徹底した情報の公開と提供」は、どこへいったのか。 (近藤晶)

 「八月の臨時議会で基本的に説明は済んでいる。(事件について)徹底した情報公開は考えていない。説明する必要はない」。石阪市長は二月二十八日の会見で、笑いながら答えた。

 「情報公開」の一環として、原則月二回とした会見は、これまでに臨時も含めて二十六回。ほぼ毎回、事件について質疑があったが、市長の説明は二転三転し、説明を尽くしたとは言い難い。

 事件に関連して住民監査請求を行った「ウオッチ町田市政(考える会)」のメンバーは「施政方針でも『徹底した情報公開』と言っているのに、事件の説明は不十分」と批判する。

 新たな疑惑が浮上しても、会見で「事件と市政は関係ない」「説明の必要はない」と強弁し続ける石阪市長。供述調書を入手した「石阪市長の政治資金パーティー疑惑を究明する会」が提出した公開質問状に対しても、「弁護士と相談して、どうするか決めたい」とし、まだ回答していない。

 同会のメンバーは「弁護士と何を相談するのか。自分が一番よく知っているはず。調書の内容から市長の積極的な関与は明白で、説明での意図的な隠ぺいは明らか」と指摘する。同会は、調書と説明の相違点を文書にまとめ、公表する準備を進めており、新たな火種になりそうだ。

 事件に関する市民からの意見は、現在も市役所に寄せられ続けており、計二百七十件に上る。説明責任を果たそうとしない石阪市長に対する市民の不満は、くすぶり続けている。

 新市長誕生から一年たっても、政治資金パーティー事件の余波が続く町田市。石阪市長が説明責任を果たさない限り、市政への信頼回復の道のりは険しい。

<メモ>政治資金パーティー事件 元横浜市職員の石阪丈一・町田市長側が、市長選前の2005年11月に横浜市内で開いた政治資金パーティーで、事前に元同僚の横浜市幹部ら87人に参加者と献金のとりまとめを依頼する電子メールを送信した。神奈川県警は06年7月、政治資金規正法違反(公務員の地位利用)の疑いで、石阪市長と横浜市前市長室長らを書類送検、同市長と前室長は横浜簡裁から8月に罰金30万円の略式命令を受け確定した。ただ、失職につながる公民権停止は適用されず、同市長は自ら6カ月減給30%の処分とするにとどまった。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20070302/lcl_____tko_____000.shtml