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2007年03月02日(金) 17時14分

カード盗からニセ警官役、電話窓口まで 日中窃盗団摘発朝日新聞

 住宅に侵入してキャッシュカードを盗み、警察官や銀行員を装って被害者から暗証番号を聞き出す手口の窃盗グループ約20人が、警視庁や愛知県警などの合同捜査本部に窃盗などの疑いで逮捕されていたことがわかった。フリーダイヤルのコールセンターを開設するなど手が込んでおり、全国各地で総額数億円の被害があるとみられる。グループは日本人と中国人で構成されており、捜査本部は組織の全容解明を進めている。

 捜査本部が摘発した窃盗グループは、カードを盗み出す役、暗証番号を聞き出す役、現金自動出入機(ATM)で現金を引き出す役などに分かれていた。

 カードを盗む役は中国人で住所不定、無職蘇山海受刑者(49)=懲役5年の判決が確定=ら。首都圏や中部地方で、マンションなどにサムターン回しと呼ばれる手口で侵入。キャッシュカードとともに、免許証など暗証番号を推測できるものもあわせて盗んでいた。捜査本部は、実行グループは複数あるとみている。

 盗み出したカードの暗証番号がわからない場合、聞き出し役が盗難の被害者宅に警察官を装って電話。「キャッシュカードが盗まれていないか」と被害を確認し、「こちらから銀行に連絡しておきます」と告げる。その後、別の女らが銀行員を装って電話し、「口座を止めるからコールセンターに電話してほしい」と要請し、指定した電話番号に電話させ、暗証番号を聞き出していたという。

 偽のコールセンターはフリーダイヤルを使って開設するなど、入念に準備していた。日本人のほか、日本語の巧みな中国人が聞き出し役をしており、中国人がこのグループをとりまとめていたとみられている。

 現金引き出し役は主に日本人とされる。聞き出し役から暗証番号を伝えられると、すぐにカードを持ってATMに向かっていた。日本人は、地理の分からない盗み役の中国人のために、運転役もこなしていたという。

http://www.asahi.com/national/update/0302/TKY200703020254.html