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2007年03月02日(金) 10時00分

ただいま51歳で職探し中!日刊ゲンダイ

 企業業績好調の声とは裏腹に、一般サラリーマンには景気回復の実感は薄い。給料アップがなかなか進まない一方で、業界によってはリストラも終わっちゃいない。岸川正治さん(仮名)も、この1月末に希望退職で27年間勤務した会社を去った。51歳にしての再出発だ。中年サラリーマンを追った。

●住宅ローン、健康保険手続き
 退職翌日の2月1日、岸川さんは、真っ先に銀行へ向かった。
「退職金で住宅ローンの返済ですよ。当分、収入がないんだから当たり前。残額全部を支払い、残りは子供の学費として女房に預けました」
 ここ数年、毎年のように給料がカットされ、月額15万円近くの住宅ローンが家計に重くのしかかっていた。「正直、ほっとした」と振り返る。
 午後は健康保険組合で手続きを済ませた。
「いまと同じ保険が使える『任意継続』を選びました。すぐに新しい保険証をもらいましたが、保険料は会社負担分がないので1カ月3万4000円! 即金は痛かった。会社員はいいなぁ、って実感しました」

●初めてのハローワークで失態
 2月2日、自宅から近い錦糸町のハローワークへ。ところが、第一歩でつまずいてしまう。
「窓口で聞くと、江東区の木場にあるハローワークに行ってくれと。23区全部にないため、居住地で窓口が決まっていたんです。早とちりでした」
 翌週、改めて木場のハローワークを訪ねる。会社から送られてきた離職票、雇用保険の被保険者証、顔写真2枚を持参した。
「私は自己都合退職なので失業保険は3カ月先まで支給されないこと、5月下旬までに就職の面接やハローワーク主催のセミナーを5回受けなければならないことなど、失業保険をもらうまでの決まり事のあれこれを改めて知りました」
 定年や会社都合退職なら、キチンと求職活動をすればほぼ半月で失業保険がもらえる。岸川さんはこの差にも愕然とした。
 働く気持ちはあるが、失業状態であることを証明する初回認定日は、2月下旬に決定。それまでに、1社は面接か就職試験を受けなければならないのが決まりだ。

●求人票探すがヒットせず
 2月13日、ハローワークで100人規模の説明会に出席。失業保険受給までの詳細な説明を受ける。パソコンを使い、求人票をコピーできたのは、その次の回からだった。
「午前10時前に着いたのに、70台ほどあるパソコンは大半の席が埋まってました。皆、必死ですよ。1回でコピーできる求人票は10枚、つまり10社まで。その中から絞り込んで面接する会社を決めるんですが、年齢、希望年収、正社員など条件を絞ると、なかなかヒットしません。ショックでした」

●迷いに迷って2社に絞り込み
 月収50万円の条件が高望みし過ぎか。運転免許ナシ、ワード・エクセルの基本操作もペケも災いした。岸川さん、改めて厳しさを思い知った。
「月収を30万円まで下げると、200社近くヒットしました。ただし、希望職種はゼロ。しかも、従業員が20人以内の中小企業ばかり。ホント、情けなくなってきましたね」
 初回認定日まで、10日を切った。不動産コンサルティング、広告代理店、焼き鳥屋店長など10枚の求人票の中から、迷いに迷って岸川さんは2社を選んだ。ハローワークに顔を出すと、担当者がその場で企業に電話を入れてくれた。
「営業職で2社受けてみます。1社はすでに十数人の入社希望者がいるそうです。履歴書は先週に送付済み。どちらか引っかかるといいのですが……」
 今週中にも結果が出る予定だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070302-00000006-gen-ent