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2007年03月01日(木) 14時33分

仕切り役、工事代配分率も直接裁定…名古屋地下鉄談合読売新聞

 名古屋市発注の地下鉄工事を巡る談合事件で、名古屋地検特捜部に独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕された大手ゼネコン「大林組」名古屋支店元顧問・柴田政宏被告(70)(別の談合事件で公判中)は、3社で構成する受注予定共同企業体(JV)の幹事社から、3社の編成、工事代金の配分割合までを決めていたことがわかった。

 名古屋地区の談合は会合を極力持たない形で行われていたが、同工事は規模が大きく調整が難航、柴田被告が各社の談合業務担当者を集め、直接裁定を下す異例の方式がとられていたという。

 関係者によると、東海地方の談合の仕切り役だった柴田被告は通常、各社の業務担当者から個別に受注の希望を聞き、後日、調整結果を各社に個別に伝えていた。しかし、2006年2月と6月に入札が行われた名古屋市営地下鉄6号線(桜通線)延伸工事は、駅舎建設なども含めると総事業費が約990億円に上る「目玉工事」(ゼネコン関係者)。一部の工区で各社の希望が衝突したため、柴田被告は05年12月中旬、各社の「チーフ」と呼ばれる業務担当責任者を集めたという。柴田被告は「今回は我慢してくれ」などと各社のチーフを説得したうえで、各工区を落札するJVの幹事社を大手、準大手の中から決定。次に、幹事社とJVを組む2、3番手企業を、受注実績などをもとに中堅・地元ゼネコンの中から選んだ。

 さらに、JVを組む各社の取り分も、幹事社、2番手、3番手の順に「5対3対2」の割合で分配するよう指示していた。複数のゼネコン関係者は「長年、談合を取り仕切ってきた柴田被告が直接、裁定に乗り出したので、従わざるを得なかった」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070301i106.htm