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2007年03月01日(木) 03時00分

「談合隠し」で地下鉄工区替え、鹿島・清水が工作読売新聞

 名古屋市発注の地下鉄工事談合事件で、名古屋地検特捜部に独占禁止法違反容疑で逮捕された大手ゼネコン「鹿島」と「清水建設」の営業責任者が、両社を幹事社とする共同企業体(JV)の落札予定工区を入れ替えていたことが分かった。

 同市などに談合情報が寄せられたことを受けた隠ぺい工作とみられ、2006年2月の入札前日、談合の仕切り役だった大手ゼネコン「大林組」名古屋支店元顧問の側近にこの事実を伝えていた。特捜部では、05年12月のゼネコン業界による「談合決別」宣言後も談合が続いていたことを裏付ける事実とみて調べを進めている。

 関係者によると、入れ替えられたのは、同市営地下鉄6号線(桜通線)延伸工事5工区のうち、06年2月に入札が行われた、「徳重第1」(予定価格約66億9300万円)と「徳重第2」(同約64億6000万円)の2工区。独禁法違反容疑で逮捕された大林組名古屋支店元顧問、柴田政宏被告(70)(別の談合事件で公判中)が、ゼネコン各社の受注希望を調整し、鹿島を幹事社とするJVが徳重第1を、清水建設を幹事社とするJVが徳重第2をそれぞれ落札することに決まっていた。

 しかし、同年1月下旬、同市に5工区の落札予定JVを名指しする談合情報が寄せられ、市は参加予定のゼネコン責任者らから事情を聞くなどの調査を実施した。鹿島と清水建設の営業責任者は、入札結果が情報通りになることを避けるため、受注工区を入れ替え、両工区の入札前日の2月7日、柴田被告の側近だった大林組名古屋支店元副支店長(59)(別の談合事件で有罪確定)に入れ替えたことを伝えたという。

 読売新聞の取材に対し、地元ゼネコンの関係者は「落札結果を見て、事前の予定と入れ替わっていることを初めて知った」と証言。鹿島と清水建設の営業責任者は、工区を入れ替えたことが外部に漏れないよう、大林組にのみ事前連絡し、ほかの参加社には知らせていなかったとみられる。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070301it01.htm