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2007年03月01日(木) 00時00分

「白金」転売目的か 多治見や瀬戸の窯で「温度計」盗難 中日新聞

 焼き物の産地である岐阜県多治見市や愛知県瀬戸市の製陶所で、陶磁器を焼く窯の温度を測る「熱電対(ねつでんつい)」と呼ばれる特殊な計測器具や内部の白金線が盗まれる被害が相次ぎ、昨年4月以降の被害が計93本に上っている。金属価格が高騰し、送電線や側溝のフタなど金属盗難が各地で頻発しているが、白金の価格もこの5年間で約2倍に高騰。多治見署などでは転売を目的とした窃盗事件として調べている。

 熱電対は、炉内部に器具を差し込み、コードで結んだ表示計で温度を示す。器具内部には、つながった2本の金属線が入っており、1本が純白金、もう1本はロジウムという貴金属を含んだ白金でできている。長さ40センチほどの小型(4万円程度)から同1メートルの大型(10万円)までさまざまなタイプがある。

 岐阜県では、多治見市高田地区で9件10本が盗まれたほか、土岐市や瑞浪市でも被害が相次ぎ、昨年4月以降、多治見署に届けられた被害は25件76本(27日現在)。

 瀬戸署には、3件17本の被害届が出ている。一つの事業所で数本盗まれ、70万円分の被害にあった事業所もあり、総被害額は数百万円に上るという。

 業界関係者によると、白金は自動車の排ガス浄化触媒に使われるなど工業関係の需要増から過去5年で価格が2倍に上昇し、現在1グラム約5000円。熱電対にある金属線の純白金の質量は小型で1グラム弱という。

 器具から金属線部分だけ抜き去る事例も多く、高田陶磁器工業協同組合専務理事の藤本啓二さん(57)は「構造を熟知した者の犯行だろう」と指摘。岐阜県陶磁器工業協同組合連合会は「(被害届は出さないが)うちも盗難にあったとの声もあり、実際の被害はもっと多いのでは」とみている。


http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070301/mng_____sya_____008.shtml