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2007年03月01日(木) 00時00分

換気扇回すか窓開ける 長時間使用避けて “赤い炎”は危険信号 東京新聞

 ガス湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故が次々と明らかになった。これまで事故情報の公開に消極的だったメーカー側の姿勢に批判が集まる一方、ガス機器の危険性をよく知らずに使っている人が少なくないことも分かった。使用時の注意点を、あらためて徹底しておこう。 (重村敦)

 名古屋市のマンションに住む松岡玉子さん(80)は日ごろから台所の窓を開け、ガス湯沸かし器を使うときは必ず換気扇を回している。風呂釜がある浴室の小窓も開放している。新鮮な空気に触れたい気持ちとともに「ガスは危ない」という意識があるからだ。

 ホームヘルパーの渡辺久子さん(59)は「最近は心配なので利用者のお宅に行くと、最初に窓を開けるよう心がけています」と話す。

 だが、松岡さんらのように注意している人ばかりではない。日本ガス石油機器工業会によると、過去二十年間で湯沸かし器や風呂釜などのガス温水機器の一酸化炭素中毒事故(推定も含む)は二百八十五件あり、排気設備の不具合による事故が多かったが、換気扇の不使用や長時間の使用など不適切な使い方も少なくなかった。不完全燃焼防止装置が作動し、停止したのに点火を繰り返し、事故が起きた例もある。

 また、製品評価技術基盤機構の調査では、二〇〇一年以降のガス湯沸かし器(給湯器を含む)のCO中毒事故四十件のうち、誤使用や不注意による事故は二十六件あった。機構の小田泰由専門官は「使うときに注意すれば防げた例が多い。考えられる危険を把握して使うべきだ」と話す。

 換気が十分でないと、室内の酸素が減り続け、不完全燃焼の状態になり、有毒な一酸化炭素が発生してしまう。中でも室内の空気を使い、室内に排ガスを出す「開放型」の湯沸かし器は、不完全燃焼を起こしやすい。

 事故を防ぐには何に注意すればいいのか。

 使用時は必ず換気扇を回すか、窓を開けること。ガスストーブも三十分に一度は換気が必要だ。最近はマンションが増え、戸建て住宅にもアルミサッシや断熱材が普及したため、より換気が大切になっている。

 ただし、排気筒付きの風呂釜の場合、台所や脱衣室で換気扇を回すと、排ガスが逆流し浴室内にたまる恐れがあるので注意すべきだ。

 湯沸かし器にホースをつないで浴槽に湯を入れたり、シャワーとして使ったりすると、使用時間が長くなり、不完全燃焼になりやすい。

 使用中に火が消えたり、炎の色が赤くなったりしたら、使用を中止しよう。排気筒がはずれるなど排気設備に不具合がないかを確認することも大切。日本ガス石油機器工業会の担当者は「六−七年使ったらメーカーや販売店に点検してもらうのが望ましい」と話す。ただ、点検は有料だ。

 屋外設置型だと、こうした心配は要らない。

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 一方でメーカー側にも消費者への注意喚起強化や機器の改良が求められる。全国消費者団体連絡会の山崎若水事務局次長は「死に至るという危険性があることをもっと緊迫感を持って利用者に伝えるべきだ」と指摘。

 開放式のガス湯沸かし器とガスストーブについては今秋までに、不完全燃焼防止装置の作動後に再点火できない構造が導入されるが、欠陥商品などの被害者救済に取り組む杉浦英樹弁護士は「三十年前ならいざ知らず、今なお開放式の機器を製造、販売していること自体に問題がある」と厳しく批判する。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20070301/ftu_____kur_____000.shtml