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2007年03月01日(木) 00時00分

金属材の盗難 急増 都内、昨年に比べ2.5倍ペース 武蔵村山市の自転車道路から盗まれたのと同型の車止め 東京新聞

 今年に入って、ステンレス製の車止めや銅製の電線といった金属材の盗難事件の発生件数が、昨年と比べ約二・五倍のペースで急増していることが警視庁捜査三課のまとめで分かった。八王子市や町田市など多摩地区での発生が多い。

 昨年一年間で同種の盗難事件は、四百九十一件(被害総額約九千二百万円)だった。今年は二十七日までに既に百九十八件(同約三千六百万円)発生した。

 昨年、狙われた金属材は銅が四百五十件、ステンレス十六件、アルミ六件、鉄十七件。今年は銅が百七件、ステンレス九十件、アルミ一件とステンレスの被害が目立つ。

 中でも八十八件が公園の駐車場の車止めを盗まれている。数人のグループが車を使用し、防犯カメラがなく、夜間に人の出入りが少ない工事現場や公園を狙う。

 同課などは昨年以降、金属材を盗んだ疑いで日本人計十七人を逮捕。犯人らは盗んだ金属材を廃品回収業者などに転売したという。

 経済成長を続ける中国などでの需要の高まりから金属材価格が高騰しているとされ、犯人らは「値段が高く処分できると思った」などと供述、同課などは詳しい転売ルートなどを調べる。

■錠交換、パトロール強化…

 公園の車止めなど、金属材の盗難事件が多発している多摩地区。八王子市など、さまざまな対策を講じて被害を食い止めようとする自治体が出てくると、犯行場所が対策を取っていない自治体に移るなど、被害は後を絶たない。各自治体の担当者らは、犯人に対する怒りの声を上げながら対応に追われている。

 都建設局によると、多摩地区の河川沿いの道路に設置されているステンレス製車止めのうち、昨年十二月以降、盗まれた車止めは計七十九本に上る。二月十日には、東大和市と東村山市にまたがる空堀川沿いの約一キロの範囲で、五十一本がなくなっているのが見つかった。

 また、各自治体が管理する公園や市民会館、学校、遊歩道などでも被害は続出。武蔵村山市では二十一日夜から二十二日朝にかけ、野山北公園の自転車道路の車止め十二本が盗まれた。ほかに羽村市十八本、昭島市十六本、瑞穂町九本などの被害が確認されている。いずれも車止めを根元で固定している南京錠を、工具などで切断して持ち去る手口とみられている。

 こうした中、頑丈な南京錠に交換するなどして被害を食い止めたのが八王子市。昨年十一月以降の被害は二百十四本に上っているが、比較的軟らかい真ちゅう製の南京錠を鉄製の南京錠に交換した二月中旬以降、被害はほとんどなくなったという。同市はこのほか、車止めに黄色のペンキを塗って転売を難しくしたり、パトロールを強化したりしている。

 また、二十三本が盗難に遭った立川市は一月中旬、車止めの根元を溶接で固定。ところが二月十三日には、高砂公園に設置されていた側溝の金属製のふた二十二枚が盗まれ、ターゲットは防止策を取っていない金属材に移った。同市の担当者は「市民の税金を盗むのと同じで許せない」と話す。同市など被害に遭った各自治体は、さらに対策を強化する方針だ。 (服部展和)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20070301/lcl_____tko_____003.shtml