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2007年03月01日(木) 00時00分

クリニック元院長逮捕朝日新聞

 千葉市花見川区にあった診療所「悠和会みずほクリニック」が、診療報酬を不正請求したとして、県警捜査2課と千葉西署は28日、同市美浜区高洲3丁目、同クリニック元院長飯島淳容疑者(44)を詐欺未遂の疑いで逮捕した。飯島容疑者は容疑を認めているという。県警によると、同クリニックは保険会社などを対象に、1年間で数百万円の不正請求を繰り返していたといい、全容解明に向け慎重に捜査を進める。

 調べでは、同クリニックは05年6〜12月、交通事故で治療を受けた男性患者について、診療日数を49日水増しした診療報酬明細書(レセプト)を保険会社に提出。約116万円の診療報酬をだまし取ろうとした疑い。

 県警は、すでに架空や水増しの請求に利用された患者を40人前後特定しているという。

 みずほクリニックは01年6月、千葉市花見川区瑞穂の住宅街に、内科、小児科、整形外科など6科を掲げる診療所として開業した。事件が発覚したのは、患者や保険会社からの通報だった。

 夫(79)が不正請求に利用された千葉市の女性(78)は05年夏、市から届いた医療費通知で「不正」に気づき、市に相談した。

 すでに通院をやめていた同クリニックで「再診」として注射や軟膏(なん・こう)処置などが施されたことになっていたのだ。4カ月分で計8万3540円(同市保険年金課調べ)が不正請求されていた。

 この女性は「近所ではやたら検査が多いとのうわさが広がっていた」と振り返る。自身が通っていた02年までにも、多い月には全身のレントゲンを5、6枚撮られたり、断っても「気になるところがある。もう1枚だけ写させてほしい」とせがまれたりしたという。「皆さんが納めた保険料をだまし取ろうとするのは悪質」と話す。

 県警や社会保険事務所の調べでは、同クリニックでは、架空請求のほか、実際よりも値段の高い注射をしたように見せかけたり、手術後の処置内容を偽ったりして診療報酬を水増し請求していたという。

 県医師会も飯島元院長に対し、不正をやめるよう注意していたという。一方で、県警の捜査からは、元院長の関連口座に約2億円の預金があるなど、経営状況の苦しさは見えてこないという。県警が動機を調べている。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000703010001