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2007年02月28日(水) 00時00分

英国 新作『12禁』に苦情相次ぐ 「007」の「カジノ・ロワイヤル」が上映されている映画館=ロンドン中心部で 東京新聞

 英国人が胸躍らせるスパイ映画といえば、ジェームズ・ボンドが世界をまたにかけて活躍する「007」シリーズ。映画やビデオをランク付けする全英映像等級審査機構へ寄せられた昨年の苦情五百件のうち最も多かったのは、最新作「カジノ・ロワイヤル」に関する八十二件だった。

 元教師や元医師ら三十人で審査する機構は、全年齢対象から十八歳未満禁止まで六ランクの中で、十二歳以上の視聴を推奨する「12禁」にした。

 しかし「暴力シーンが多く、年齢を上げるべきだという声ばかり」と広報担当スー・クラークさん。当初は「15禁」を検討しながら、映画会社が拷問(ごうもん)場面などを抑え気味にしたため変更したという。

 息子(9つ)、娘(7つ)とロンドンの映画館へ出かけた医師アンドリューさん(44)は「妻は反対したけど…。子どもと一緒にボンドを見たかったんだ」と苦笑した。

 家族向きだけれど、幼い子には刺激が強い。そんな映画を「12禁」に指定するようになったのは、一九八九年の「バットマン」がきっかけ。暴力シーンのほか怖さや性描写、言葉遣いなどを判断基準にしている。

 英国で国民的人気を誇るもう一つの映画「ハリー・ポッター」では、四作目の「炎のゴブレット」が初めて「12禁」になった。登場人物の殺害シーンなどがあるためだが、十一歳と八歳の息子と一緒に観賞したロンドンの主婦サラ・ギルフィランさん(45)は「二人ともポッターファン。あまり気にならなかったわ」。

 基本的に強制力を持たないランク付けは「あくまで親へのメッセージ」とクラークさん。七月公開の五作目「不死鳥の騎士団」は、さて、どうなるか−。

  (ロンドン・岡安大助、写真も)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/nwt/20070228/ftu_____nwt_____001.shtml