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2007年02月28日(水) 00時00分

国施設が来月閉鎖 市機関と連携の矢先朝日新聞

  フリーターの就職支援を目的に厚生労働省が横浜市西区内に03年6月に開いた「ヤングジョブスポットよこはま」(YJS)が、3月24日で閉鎖される。年間1万人以上の利用者がいる上、横浜市が昨年末にYJSと連携する就労支援機関を同じビル内に開設したばかりだった。関係者から戸惑いの声が上がっている。

(太田泉生)

  YJSは、厚労省と独立行政法人雇用・能力開発機構が主体となり、全国14カ所に設置された。横浜ではJR横浜駅西口近くのビル2階に開設され、市内でフリースクールを経営しているNPO法人・楠の木学園に運営が委託されている。

  NPO側スタッフの責任者を務める岩永牧人さん(30)によると、「やりたいことが分からない」「仕事が自分に合わない」といった悩みを持った若者の相談にのり、履歴書の書き方や面接の練習、職業体験を通し、就職をバックアップすることが主な役目だ。

  しかし、開設後、長い間自宅に引きこもっていた人や、精神疾患と診断された人など、当初想定したより深刻な問題を抱える人たちも集まるようになったという。

  平日昼間にYJSを訪ねると、20〜30代の若者約20人がおり、テーブルを囲んで雑談をしているグループもあった。

  昨年5月ごろから通う男性(33)は、3年前に電機メーカーでリストラされ、母親の介護のストレスもあって自律神経失調症になり、働けなくなったという。「ここでは、とにかく働けというのではなく話を聞いてくれる。同じような悩みを持つ人と出会い、話せたことも力になった」という。職業訓練校に通い、再就職を目指している。

  岩永さんは「利用者同士が雑談で課題を共有するのは大事な機能。他の居場所と異なるのは、ここではみんなが職に就いて自立したいという気持ちを持っているということだ」と説明した。

  YJSがあるビルの4階には、横浜市が昨年12月に開設した「よこはま若者サポートステーション」(YSS)がある。公募の結果、YJSのスタッフ有志が作ったNPO法人が運営している。

  2階のYJSを若者たちが集まって集団活動をする場とする一方、4階のYSSでは引きこもりや精神疾患がある人も含め、個別の面談に力を入れてきた。両方を行き来する利用者もいる。

  ところが、厚労省は今年1月、東京と大阪以外のYJSを閉鎖する方針を決定した。同種の施設が同じ建物内にあるか、利用者が年間1万人以下の場合に閉鎖対象となり、横浜のケースではYSSが同種の施設として判断されたという。

  横浜市の川名一行・青少年育成課長は「YJSと連携して施策を進めようと考えていたので、突然の閉鎖は非常に残念」。一方、NPO側は、この場に集まる若者たちが行き場を失わないよう、家賃の安い物件での存続を検討するという。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000702280006