記事登録
2007年02月28日(水) 00時00分

教諭ら不安の声 君が代伴奏、上告を棄却朝日新聞

 「職務命令は憲法に反しない」。東京都日野市立小学校の入学式で「君が代」のピアノ伴奏をしなかった教諭が戒告処分取り消しを求めた訴訟で、最高裁は教諭側の上告を棄却した。卒業式・入学式を間近に控え、学校現場などに波紋が広がった。

 「判決はどんな影響をもたらすのか」。都立高教諭は不安を語る。校長は「28日の職員会議で職務命令を出す」と予告。国旗掲揚と国歌斉唱を義務づけた都教委通達を違憲とした昨年9月の「予防訴訟」の地裁判決を持ち出しても「控訴したから」と取り合わない。生徒に「思想信条を大事に」と伝えているのに、自分が信条を曲げられるのか自問している。

 「多数意見は『なぜ』(そう判断するのか)に言及がなく、憲法論になっていない」。代理人の吉峯啓晴弁護士は会見で判決を厳しく批判。「予防訴訟」の弁護団も「判決の論法ではあらゆる少数者の基本的人権が認められないことになる」と指摘した。

 都教組の滝沢孝一・教文部長も「憲法の思想・良心の自由と教育の原理原則からみて不当で容認できない」としている。

 一方、都教委の職員課は「都の勝訴判決が確定したことは当然の結果と考えている。今後も服務事故に対してはきぜんとした姿勢で対応したい」とコメントを出した。

 ◆日の丸・君が代「強制やめて」

 都立高校生の保護者や卒業生らが27日、卒業式や入学式での日の丸・君が代の強制をやめるよう求めた要請書を中村正彦都教育長に提出した。

 都教委は03年10月に出した通達で、教職員が国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するように職務命令を出すことを各校長に求めている。

 要請書はこの通達の撤回と、通達に基づく教職員への過去の処分を取り消すことも求めた。

http://mytown.asahi.com/tama/news.php?k_id=14000000702280001