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2007年02月28日(水) 15時59分

大林組などゼネコン5社を刑事告発 地下鉄談合朝日新聞

 名古屋市発注の地下鉄工事をめぐる談合事件で、公正取引委員会は28日、大林組などゼネコン5社を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検察当局に刑事告発した。同容疑でのゼネコンの告発は初。告発を受け、名古屋地検特捜部が各社の業務担当者を本格的に取り調べ、逮捕する。建設業界では05年暮れに大手が談合からの決別を申し合わせたが、その前後にも談合行為が継続していたことになり、企業体質や経営責任も問われそうだ。

延伸工事が進む名古屋市営地下鉄桜通線の徳重駅付近=28日午前、名古屋市緑区で

延伸工事が進む名古屋市営地下鉄桜通線の工事現場=28日午前、名古屋市天白区で

 ほかに告発されたのは鹿島、清水建設、前田建設工業、奥村組。

 調べなどでは、各社は06年2月と6月にあった市営地下鉄6号線(桜通線)の延伸工事の5工区の入札で、05年12月ごろまでに、事前に落札予定業者を決めた疑い。

 各社の希望を聞き、過去の施工実績などをもとに工事を割り振ったとされるのが、大林組名古屋支店元顧問の柴田政宏被告(70)=別の工事を巡る刑法の談合罪で公判中=で、鹿島など5社が筆頭になった共同企業体(JV)が落札した。公取委などはJV筆頭の各社が大林とともに中心的な役割を果たしたと判断した。

 一方で、落札に成功したJVの筆頭5社のうち準大手1社がこの日は告発対象からはずれた。

 公取委は05年10月に「刑事告発及び犯則事件の調査に関する方針」を公表。談合を自主的に申告すれば課徴金を減免する制度の適用を申請し、公取委の家宅捜索前に「自首」した会社については、刑事告発の対象としないことを明らかにしている。

 今回、この1社に対して同制度が初めて適用され、公取委は当面、告発を見送るとみられる。

 この点について、公取委はコメントしていない。同社広報室は「コメントは控える」とし、告発対象からはずれたことについては「公取委の判断で、申し上げることはない」と話した。

 公取委や名古屋地検は今後、談合の発覚を恐れて鹿島と清水が落札予定工区を入れ替えたとされる疑惑や、今年度発注予定の4工区でも同時期の談合で大林などが落札予定に決まったとされる点についても、捜査を進めるとみられる。

 昨年1月施行の改正独禁法で、同法違反罪での起訴が東京高検だけでなく全国の地検で可能になった。告発を受けて地検が捜査するのも、昨年6月に大阪地検が起訴した汚泥・し尿処理談合事件に次いで2例目。

http://www.asahi.com/national/update/0228/TKY200702280189.html