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2007年02月28日(水) 00時00分

三菱自に2審も賠償命令 タイヤ脱落母子死傷 中日新聞

 横浜市で2002年1月、三菱自動車(三菱ふそうトラック・バスに分社)製トレーラーから脱落したタイヤに直撃された母子3人が死傷した事故で、死亡した主婦岡本紫穂さん=当時(29)=の母増田陽子さん(57)が、三菱自と国に計約1億6000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁であった。西田美昭裁判長は、三菱自だけに550万円の支払いを命じて国への請求を退けた1審横浜地裁判決を支持、原告の控訴を棄却した。

 再発防止などを目的に米国でも認められている「制裁的慰謝料」として、原告側は1億円を請求していたが、2審でも退けられた。原告側は上告する方針。

 判決理由で、西田裁判長は「企業イメージの低下やリコール(無料の回収・修理)による多大な損失を恐れ、重要部品の欠陥を知りながら国に虚偽報告して欠陥を放置し、非常に悪質」と三菱自の責任を指弾した。

 一方で、制裁的慰謝料については「一般論として、日本でも採用する余地が全くないわけではない」としつつも、「適用対象や金額の算定方法を明確にした立法によるべきだ」と指摘。国の責任については、三菱自の国への虚偽報告などから「欠陥を容易に認識できる状況になかった」と認めなかった。

 原告側代理人の青木勝治弁護士は「制裁的慰謝料が認められなかったのは極めて残念」と話した。

 三菱自は「コメントを差し控えたい」とし、国交省は「国の主張が認められ妥当だ」とした。


http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070228/mng_____sya_____004.shtml