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2007年02月27日(火) 10時01分

街中で見かけるお馴染みの「オジギビト」たちが勢ぞろい日刊ゲンダイ



「オジギビト」と呼ばれる人々をご存じだろうか。実は彼ら「ご迷惑をおかけしています」と工事現場でよく見かける看板の中でお辞儀をしている現場作業員のことで、漫画家とり・みき氏の造語だ。
 通りすがりの人にはどれも同じように見えるこのオジギビト、よく見るとさまざまな種類があるという。
 筑摩書房刊「街角のオジギビト」(1400円)は、彼らの「小さな違い」や「意図せぬ面白さ」に気づいたとり氏が20年にわたって収集、分類を続けてきたオジギビトたちを豊富な図版で紹介する面白ビジュアルブックだ。
 オジギビトのオーソドックスなスタイルは安全帽をかぶり、正面を向いてお辞儀をしている直立不動型。カラーリングから着ている作業着の微妙な違いや、ネクタイの模様などで、バリエーションが広がっていく。
 オジギする彼らの顔は下向きになるので、絵にすると目が閉じているように見える。この「オジギの表現」こそが作り手の苦心するところのようで、観賞の大きなポイントになるそうだ。
 その他、安全帽を脱いで小脇に抱えたり、敬礼している礼儀正しいオジギビトや、立ち入り禁止を通告するために立ちはだかるベンケイ型、中には水着姿にヘルメットをかぶった女性の写真を使ったイレギュラーものまであり、ページが進むにつれ、オジギビト界の住人たちの多士済々ぶりに驚かされる。
「世の中には作られたギャグよりナマの素材の意図していない面白さもある。そういうものを探しに外へ出て」いった著者による路上観察の集大成。一読したら、もう工事現場の横を安易に通り過ぎることはできなくなるはず。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070227-00000007-gen-ent