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2007年02月27日(火) 00時00分

餌はやらないで 井の頭公園池朝日新聞

 都立井の頭公園(東京都武蔵野市、三鷹市)の井の頭池で、鳥や魚への餌やりをしないよう求めるキャンペーンが3月1日から始まる。餌の麩(ふ)の販売をやめ、チラシを配る。野鳥への悪影響を指摘していた市民グループ「井の頭かんさつ会」と、水質浄化運動を展開する東京吉祥寺ライオンズクラブが協力、管理する都西部公園緑地事務所が呼応した「官民共同」の呼びかけだ。 (松村康史)

 かんさつ会を主宰する三鷹市の田中利秋さんらが、西部事務所に餌やり禁止の要望書を出したのは昨年9月。水鳥の一種、カイツブリの幼鳥が巣立ちをせず、自分で餌を捕ろうとしないなど、餌やりが生態に悪い影響を与えていると指摘した。

 来園者約100人に聞いたところ、8割以上の人が「餌やりの制限・禁止」を必要と答えたという独自のアンケート結果も添えた。

 西部事務所の小口健蔵所長は「いきなり文書が出てきて驚いたが、内心うれしい気持ちもあった」と話す。

 ちょうどそのころ、事務所はライオンズクラブなどと一緒に、公園を活性化させる委員会をつくって活動を始めていた。主に池の水質浄化の観点から餌やりを問題視し、すでに園内の売店による「茶屋組合」にも、餌として1袋100円で売られている麩の販売停止を打診していた。

 昨夏、コイヘルペスで池のコイが大量に死んだ際、「太りすぎ」が多いこともわかっていた。

 事務所ではその後、田中さんらが開く自然観察会に職員が参加したり、会の告知に協力したりして信頼関係を築いていったという。

 こうした動きに、ライオンズクラブの杉田昇さんらが反応した。チラシの作成を田中さんに依頼し、1万枚を印刷した。費用は8万5千円。「原案を田中さんが作ってくれなければ、デザイン料に30万円はかかっただろう」と杉田さんは話す。チラシは片面で餌やり自粛を呼びかけ、片面で水鳥をカラー写真付きで解説している。

 1日から、園内の売店で麩の販売が停止され、餌やり自粛を求めるポスターが張り出される。4日午後0時半からは「お願いキャラバンパトロール」と称して、関係者がライオンズクラブのチラシを配る。

 田中さんは「お役所らしくない西部事務所の対応で、早く実現できた」と喜ぶ。

 「餌やりをする人は基本的に優しい人なので、よく説明すれば理解してもらえると思う」と話している。

http://mytown.asahi.com/tama/news.php?k_id=14000000702270002