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2007年02月27日(火) 00時00分

自転車、一方通行に朝日新聞

 手軽で、環境に優しい乗り物として役割が見直されている自転車。その一方で、歩行者などとの事故も増えている。どうすれば両者が共存できるのか。世田谷区は07年度、自転車の一方通行(ワンウエイ)レーンの設置による実証実験に取り組む。

 国土交通省によると、一方通行を実施している自治体は聞いたことがないという。

 区の計画では、車道の一部に移動式のガードレールを設置、自転車専用のレーンを設ける。反対側には、歩道に専用レーンを作る。「左側通行」に従って、それぞれのレーンは一方通行とする。自転車の走行位置を明確にすることで、歩行者や車との事故を減らす狙いだ。

 中央区など、歩道に自転車走行帯がある地域もある。しかし、昔からの住宅地が多く、都心部に比べて道路幅が狭い世田谷の場合、歩道に十分な専用帯を設けるのは難しい。このため車道の活用を試みることにした。

 一方通行の実験を試みた都市もある。大分市は昨年1月、市中心部の幅約10メートルの道路で、平日5日間実験した。通勤・通学時間帯の午前7時から同9時と、午後5時から同7時の間、車道を一車線(一方通行)に規制、その分を使って両脇に自転車専用レーンを設けた。各レーンとも一方通行だ。

 市のアンケートでは「回り道をしなければならず、不便になった」という声もあったが、「安全性が向上した」(車の運転者)とか、「歩道を走らないので、危なくない」(歩行者)といった好意的な意見が約8割を占めたという。

 世田谷区土木計画課は「区分することで、自転車を利用しやすい環境になるのかや、『軽車両』である自転車運転のルールを再確認することができるのか、を調べたい」と説明する。

 具体的な場所を検討した上で、今年10月ごろの実施を予定。利用者へのアンケートや、車道と歩道との違いなどを調べた上で、来年度中に具体的な提言をまとめたいとしている。

 警察庁の統計では、05年、全国の自転車事故の死傷者数は約18万5千人。10年前の1・3倍に増えた。このうち歩行者との事故は約2500件で4・6倍増となっている。

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000702270001