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2007年02月26日(月) 09時05分

オウム分裂、上祐派脱会 3月に約70人同調見通し朝日新聞

 オウム真理教(現・アーレフ)の上祐史浩代表(44)や代表を支持する信徒が、3月中に現教団に脱会届を出す方針を固めたことが、教団関係者の話でわかった。出家信徒数十人を中心に、5月までに松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(51)の影響を排した新団体を立ち上げるという。公安当局は、代表派の「脱麻原」路線と、「麻原回帰」を逆に強める反代表派の動向に警戒を強めている。

 教団関係者などによると、現在約1600人いるとされる信徒のうち、上祐代表を支持する出家信徒60〜70人が代表とともに脱会届を出す見通し。現在、代表派が管理する大阪などの施設に通う在家信徒100〜200人程度も加わる可能性があるとみられる。

 新団体の本部はアーレフが現在も拠点とする東京都世田谷区南烏山のマンションに置く。運営は代表以下幹部十数人の合議制になる見通しで、宗教の研究会のような任意団体にする意向。これまでの位階制度やホーリーネームなどは使わない。2月末までに、松本死刑囚の個人崇拝につながる説法ビデオや書籍を廃棄し、道場の改装などを終える予定という。

 一方、上祐代表に反発する信徒らは、幹部約30人を中心とした合議制を目指しながら、松本死刑囚の判決確定以降、「グル(松本死刑囚)を語る会」を開くなど松本死刑囚への回帰姿勢をより強く打ち出すことで、内部の引き締めや信者獲得を図っているという。

 公安当局は代表派の動きを、観察処分逃れのためとみるとともに、反代表派は松本死刑囚のカリスマ性によって勢力拡大を図っていると見て、警戒している。

 教団は04年秋ごろから、「脱麻原」を打ち出した上祐代表派と、松本死刑囚の家族に近いとされる反代表派、態度を鮮明にしていない中間派に分かれて対立状態が続いていた。セミナーが分裂開催となり、06年7月には代表派と反代表派が会計を分離していた。

 教団は00年7月、地下鉄サリンなど各事件の被害者に05年6月までに9億6000万円を支払うことで管財人と合意したが、期限までに約4億円が未払いとなったため、期限が3年間延長された。代表派は信徒数に応じた負担を主張している。

http://www.asahi.com/national/update/0225/TKY200702250286.html