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2007年02月26日(月) 00時00分

香取集団暴行死 なお残る謎朝日新聞

 香取市下飯田のため池で、同市小見川、溶接工篠塚裕也さん(18)の遺体が見つかった事件に関連して、篠塚さんをため池に運んだとされる軽乗用車を壊した疑いで、香取署捜査本部は25日までに、知人ら7人を逮捕した。調べに対して、「車に篠塚さんの血が付いていたので、証拠隠滅のために相談して処分した」と供述。殺害への関与も認めているという。捜査本部では、さらに数人が関与しているとみている。なお、殺害の動機や、経緯などについて不明な点も多く、全容解明を急いでいる。

 捜査本部は、24日までに逮捕した知人ら6人に加え、25日未明に茨城県鹿嶋市平井、無職関恵容疑者(23)を、同じ器物損壊容疑で逮捕した。

 調べでは、7人は18日午前6時ごろ、東庄町石出の町道で、軽乗用車1台に灯油のようなものをかけて焼き、壊した疑い。軽乗用車はそのまま放置されたため、消防からの通報でまもなく発見されたという。

 捜査本部によると、7人を含むグループは車を焼く前に、香取市小見川区事務所(同市羽根川)の駐車場などで篠塚さんに集団で暴行を加え、ため池に沈めたとみられている。

 司法解剖の結果では、篠塚さんの全身には棒や拳で殴られたような数十の傷があったという。集団暴行は、千葉、茨城県境の複数の場所で行われたとみられ、捜査本部が確認を進めている。

 一連の事件では、20日夕に「篠塚さんと連絡がとれなくなっている」という友人からの連絡を受け、県警が捜査を開始。21日にため池で遺体を発見した。

 その後、関係者の話などから、7人を含むグループが浮上。23日に19歳の少年2人を逮捕。さらに24日午後3時ごろ、茨城県神栖市内のファミリーレストランで、主犯格を含む4人組を発見したという。

 捜査本部の調べや友人らの話によると、篠塚さんは中学卒業後、地元の県立高校を中退、神栖市で溶接工として勤めていた。友人は千葉県内のほか、利根川を挟んで対岸にある神栖市にもいたという。

 中学時代から仲が良かったという男性(19)は「(篠塚さんは)明るくて元気で、いつも面白かった。女友達からも好かれていた」と振り返る。

 また、篠塚さんを知る香取市内のショッピングセンターのゲームセンター店長(45)は事件直前の17日夕、篠塚さんを見かけたという。「身内を亡くしたような気分です」と話す。

 逮捕されたグループは、篠塚さんの勤務先があった神栖市在住のメンバーが中心となった遊び友達。17〜19歳の未成年の男女が4人いた。

 普段から地元・香取市内のゲームセンターなどで篠塚さんと一緒に遊んでいた少年も含まれていたが、篠塚さんとは面識がなかったり、顔を知っている程度、という人間も数人いたという。

 捜査本部のこれまでの調べでは、女性との交際をめぐるトラブルが浮上している。ただ、殺害に直接結びつく動機かどうかについては、なお不明な部分も多く、慎重に調べを進める考えだ。

http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000702260003