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2007年02月26日(月) 00時38分

新手の「早業」詐欺、被害数億円朝日新聞

 警察官や銀行員を名乗り、盗んだキャッシュカードの暗証番号を聞き出す新たな手口を駆使する窃盗グループの4人が県警に逮捕された。カードなどを盗んでから約1時間以内には現金を引き出してしまう早業。東京都や福岡県などでも同様の被害が相次ぎ、被害総額は数億円に上るとみられている。県警は12都府県警と合同捜査本部を設置して捜査を進めている。

 昨年10月24日午後9時ごろ、鹿児島市・天文館の飲食店に、一本の電話がかかってきた。
 「鹿児島中央署です。○○さんと代わってください」
 警察官を名乗る男が、男性客と代わるよう促した。男性が電話口に出ると、「財布をなくしていませんか」と聞いてきた。確認すると、上着から財布がなくなっている。「カードを止めるため、銀行に電話してください」と鹿児島市内の電話番号を教えてきた。
 その番号にかけると、女性が出てきて「カードを止める手続きに暗証番号が必要です」。
 「鹿児島中央署の警察官なのに、訛(なま)りがない」。不審に思った男性は同署に届けた。翌日、張り込みをしていた県警は、同市内のホテルに分散して投宿していた窃盗グループ4人を逮捕した。
 逮捕されたのは中国籍の汪飛躍(ワン・フェイ・ユエ)被告(48)、邵建民(シャオ・ジェン・ミン)被告(39)、鄭潔(ツェン・チェ)被告(38)と在日韓国人の金賀津男(キム・ハジンナム)被告(49)の4人。
 検察側の冒頭陳述などによると、4人は同市の繁華街、天文館などの飲み屋を物色。午後8時半ごろ、いすにかけてあった男性の上着からキャッシュカード入りの財布を盗んだ。その後、この4人とは別の電話グループに飲食店の電話番号とカードの持ち主を伝え、暗証番号を聞き出させようとした。成功すれば、現金自動出入機(ATM)から現金を引き出すつもりだったという。
 現金の引き出しと同時に、日本語が堪能な金被告などが午後9時ごろには同市内の電器店で盗んだクレジットカードを使ってパソコン1台(18万1千円)を購入していた。
 同9月には、同じ手口でキャッシュカードを盗まれ、暗証番号を言ってしまった男性は、電話の直後にATMから現金60万円を引き出されたほか、パソコンなど4点(85万4千円)をカードで購入されていた。
 4人は買った電化製品などを別の換金グループに送り、換金した金を報酬として分配していた。

http://mytown.asahi.com/kagoshima/news.php?k_id=47000000702260003