記事登録
2007年02月26日(月) 00時00分

サービス向上“けん引” タクシー接客・地理講習 東京新聞

 国土交通省は二十六日、タクシーのサービス向上のため、政令指定都市の運転手に接客などの講習を義務付けることを決めた。三月にタクシー業務適正化特措法の改正案を閣議決定し、今国会に提出、成立から一年後の施行を目指す。

 大都市部は、街中を走行中に乗客を拾う流し営業が多く、乗客の大半は一度きりの利用のため運転手のサービスが低下しやすいとの指摘がある。法改正は法人タクシー運転手を対象に講習を通して質の向上を図るのが狙い。

 現行法では東京都と大阪府の一部が、地理試験に合格し、運転手登録しないと営業できない指定地域となっている。

 改正案は、現在の指定地域を特定指定地域に名称変更した上で、新たに政令市などを指定地域にして登録制度を拡大する。

 指定地域の運転手登録は、国が指定した機関が実施する講習の修了が要件となる。講習は、接客のほか、地元の地理や安全などが主な内容。

 重大な事故などがあった運転手には特定地域と同様に最長二年間の登録取り消しの罰則を適用する。

 指定地域は政令で定めるが、流し営業の割合が少ない静岡市を除く政令市と、営業エリアが一体となっている一部近隣地域を含める方針。法人タクシー運転手は全国で約三十八万人だが、特定地域では約十万人、指定地域では約十一万人が対象になる。

 近年、規制緩和により運転手の数が増えており、経験不足などから「地理に不案内」という苦情が増加しているとの声を受け、国交省の審議会が昨年、提言をまとめた。提言にあった運転手の定年制の導入は、一律の線引きが難しいことなどから見送られた。

<メモ>タクシー業務適正化特措法 1970年に施行。当時は需要に対しタクシーが不足していた上、流し営業が中心となる大都市の法人タクシー運転手は、営業所の監督の目が行き届きにくいことから、乗車拒否などの悪質な行為が目立った。このため運転手の質の確保策として、東京都の一部などを対象とした登録制度を創設した。営業所や個人タクシーは、道路運送法に基づいて国から行政指導などを受ける。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070226/eve_____sya_____000.shtml