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2007年02月25日(日) 00時24分

病気腎移植「病院側にも問題」移植学会理事長が批判読売新聞

 宇和島徳洲会病院(愛媛県)の万波誠医師(66)らによる病気腎移植について、日本移植学会の田中紘一理事長は24日、都内で開かれた臨時理事会後に記者会見し、「手術の進め方の不備や病院に倫理委員会がない、患者の選択に疑問があるなど問題は多い」と、万波医師を含む病院の体制について厳しく批判した。

 同学会が公式の場で病気腎移植に関する見解を示したのは初めて。

 この日の臨時理事会では、病気腎移植にかかわった5県10病院で行われた調査や進ちょく状況などについて説明があった。万波医師らが、提供者となった患者に他の治療法の選択肢を提示していないといった問題点などが報告された。

 万波医師が主導した病気腎移植42例について、日本移植学会を含む腎臓疾患の関連5学会が、各病院の調査委員会に専門医を派遣し、その妥当性を検証している。田中理事長は、同学会単独の結論は出さず、5学会で足並みをそろえるとした。その上で、「各調査委員会からは色々な点で不備があることが報告されている。だが、腎臓病の患者さんの治療について、移植とは別に(専門の学会ごとに)考える必要がある」と話し、各学会の意見をまとめ、来月にも統一で声明を出す方針を改めて示した。

 一方、宇和島徳洲会病院の貞島博通院長は同日、都内で記者会見を開き、「すべてが駄目だ、というルールを作るのは望ましくない」と反論した。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070224i313.htm