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2007年02月25日(日) 00時00分

危険な偽造バイアグラ 東京新聞

 日本向けに「バイアグラ」の偽造薬をインターネットを利用して販売していた日本人男性二人がタイ警察に逮捕されたとのニュースが先日、本紙に載っていた。

 バイアグラは、米国ファイザー社が狭心症の治療薬として開発したが、臨床試験中に勃起(ぼっき)不全の改善効果が確認され、米国で一九九八年、日本でも九九年に承認された。

 だが同年、すでに偽造薬が現れ、これまでに約七十カ国で確認されている。

 大半が中国、インド、北朝鮮などで製造され、冒頭のように東南アジアなどを経由して国内に持ち込まれる。

 米国政府の調査では中東のアルカイダなどテロ組織の資金源にもなっている。

 偽造薬には有効成分が含まれていなかったり、含まれていても量にばらつきがあって効果が期待できなかったり、さらにメリケン粉やうどん粉のほか殺虫剤など有害物質が含まれるケースもある。

 摘発された偽造現場の写真を見る限り、成分を撹拌(かくはん)するのにセメントミキサーやバケツを使い、原材料や完成品を地面にじかに置くなど衛生管理は全く行われていない。

 バイアグラはある種の薬剤と併用すると生命にかかわるだけに、国内では医師の処方箋(せん)がないと購入できない。しかも全額自己負担である。

 それゆえ処方箋なしで安価に入手できるインターネット販売(個人輸入代行)が広がるが、この方法で入手するバイアグラの半数以上は偽造品といわれる。

 個人輸入は、国内で入手できない未承認薬などの購入にはいいが、安全性情報は二の次になりやすい。それを甘くみると、つけは購入者自身に回ってくる。(日比野守男)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/ronsetu/20070225/col_____ronsetu_000.shtml