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2007年02月25日(日) 16時52分

センセイ1日で金沢67万円、小松52万円朝日新聞

=議員報酬 月額満額支払い=
 【月の途中退職で7市町 月の途中就任で3市町】

 金沢市議は在職1日でも報酬月額67万円——。月の途中で就任・退職した地方議員の報酬を月額満額支払う自治体が、県内19市町と県のうち、7市町あることがわかった。中には就任・退職ともに月の途中であっても月額満額支払うケースも3市町ある。いずれも条例の規定によるものだが、全国的には「月割り」を「日割り」に改めた議会が大半。自治体の財政運営が厳しさを増す中、なお残る「議員特権」に批判が強まりそうだ。

(黒川和久)

 =条例規定、見直しも=

 朝日新聞や県の調べによると、議員報酬の月額払いについて、月の途中で退職しても満額を支払っているのは金沢、小松、羽咋、加賀、津幡、志賀、中能登の7市町。また就任時に満額を支払うのは小松、志賀、中能登の3市町。小松、志賀、中能登は退職時、就任時ともに満額だった。ただ現職が続けて議員になる場合、月額報酬を重複して支給する自治体はない。

 金沢、小松の両市議の任期満了はともに今年5月1日。同月はほとんど活動実態がないのに、金沢市では現職市議40人全員で計2695万円を支払う。また、新しく就任する議員は最初の月は日割りのため、5月は残り30日分が支給される。

 前回改選した03年5月でみると、旧市議40人分の月給に加え、新たに当選した新顔・元職10人に対する30日分の報酬計648万円も支払われた。5月の議員報酬総額は3343万円。「日割り」を採用した場合と比べ、この月は余計に648万円かかったことになる。

 今年5月にどれだけかかるかは現職以外の議員数次第。「新顔や元職議員が多いほど、支出が増える」という奇妙な構図になっている。

 こうした仕組みに、平田誠一議長は「議員はみんなまじめにやっているが、(退職月の月額支給は)道理からすれば、考えていかなければいけないと思う。今任期中の条例改正は間に合わないが、次の体制で議論するよう引き継ぎたい」。森雪枝副議長も「ベターではないので、見直しが必要かなと思う」と話した。

 小松市も金沢と同様で、前回03年5月は新顔の当選が1人だったため、「月額」による余分な支払いは、新人議員1人分の報酬にとどまった。

 同市議会の長田良一議長は「勉強不足で申し訳なかった。今任期中の条例改正は無理だが、新議員で報酬額が適正かどうかも含め、何らかの対応はすべきと思う」と述べた。

 全国市議会議長会(東京)が04年12月に全国672市を調査したところ、就任時の日割り支給は77%、退職時の日割り支給は65%。就任・退職時のいずれも日割りは64%だった。

 =日割り導入 住民への配慮やコスト削減= 

 「住民の理解を得るため」「支出を抑制できる」——。退職する月の議員報酬を「日割り」にした自治体では、導入の理由について、住民感情への配慮やコストカットを挙げる。

 4月下旬に任期切れとなる野々市町は84年から日割りを採用。「日割りの方が適し、歳出も抑えられる。当時、住民の理解が得られるとして判断したのだと思う」と説明する。

 今春改選があり、以前から日割りの穴水町は「費用弁償という考え方で、報酬は仕事をした日の分を支払ってきたのではないか」、川北町は「町民全員に理解してもらえる形を採ってきた」と話す。

 一方で、羽咋市は今年3月定例議会で条例改正し、4月から「日割り」を目指す。「月額では重複してしまう。合理的な支給方法に改善したい」。中能登町も今春から日割りにする予定という。

 =身分ない日の報酬おかしい=
 ◇全国市民オンブズマン連絡会議代表幹事の土橋実弁護士の話◇

 住民感覚からすれば、お手盛りのようで奇異なこと。議員として仕事をするための報酬なのに、議員の身分がない日の分まで受け取るのはおかしい。日割りが適切ではないか。有権者はおかしな制度は改めるよう主張し、それに対する議員の姿勢を投票する判断の一つの要素にしてほしい。

http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000000702250001