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2007年02月25日(日) 03時00分

名古屋地下鉄談合、ゼネコン6社を27日にも強制捜査読売新聞

 名古屋市発注の地下鉄工事を巡る談合事件で、名古屋地検特捜部は、談合の仕切り役が支店顧問をしていた大手ゼネコン「大林組」(大阪市)と、落札した共同企業体(JV)で幹事社だったゼネコン5社の営業担当者ら6人前後を、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立件する方針を固めた。

 特捜部は、27日にも公正取引委員会の告発を受けて、強制捜査に乗り出す。ゼネコンが独禁法違反で立件対象になるのは初めて。

 ゼネコン業界が「決別宣言」した2005年12月以降も談合が続いたとみられ、ゼネコン各社の談合体質が改めて問われることになる。

 談合の対象となったのは、昨年2月と6月に入札が行われた名古屋市営地下鉄6号線(桜通線)延伸工事の5工区。2月に4工区、6月に1工区の入札が行われ、「ハザマ」(東京都港区)、「前田建設工業」(千代田区)、「清水建設」(港区)、「鹿島」(同)、「奥村組」(大阪市)が幹事社をしていた五つのJVが19億5000万円〜62億1000万円で、それぞれ落札した。

 関係者によると、JVの幹事社は、受注を希望する工区などについて、事前に、談合の仕切り役とされる「大林組」名古屋支店元顧問・柴田政宏被告(70)(別の競売入札妨害事件で公判中)に伝え、この希望を受けて柴田被告が受注する企業を決定していたという。

 特捜部と公取委は先月下旬、大林組や鹿島など6社の本社や名古屋地区の支店を捜索。談合の窓口になった各社の営業担当者らからの事情聴取を続けていた。

 その結果、特捜部などは、柴田被告の受注調整に従うというルールに基づいて談合を繰り返していた行為は、独占禁止法3条が禁じる「不当な取引制限」に当たると判断した。

 「日本建設業団体連合会」「日本土木工業協会」「建築業協会」の建設業3団体は05年12月、会員企業に対して、「独占禁止法の順守」を呼びかける文書を流すなど談合との決別を宣言していた。特捜部などは、その後も、各社の談合防止の取り組みが不十分だったとみており、独禁法の両罰規定を適用し、各社の法人責任も問う方針。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070225it01.htm?from=top