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2007年02月25日(日) 15時56分

無人ヘリ輸出許可の必要判断、1人で担当 ヤマハ発動機朝日新聞

 ヤマハ発動機(本社・静岡県磐田市)が軍事転用可能な無人ヘリコプターを中国企業に不正輸出しようとしたとされる事件で、同社が輸出にあたって経済産業相の許可が必要かどうかの判断を、スカイ事業部主査で輸出担当のリーダーの板垣孝文容疑者(57)=外国為替法違反容疑で逮捕=にほぼ一任していたことが関係者の話で分かった。静岡・福岡両県警の合同捜査本部は、事件の背景には、複数のチェックが働かない同社の輸出管理態勢に不備があったと見て、調べている。

 関係者によると、ヘリの開発・販売・輸出を担うスカイ事業部では、経産相の許可が必要かの判断をする「該非判定」の実務を板垣容疑者がほぼ1人で担当。中国向けの無人ヘリはすべて「非該当」と判定されて、輸出管理を担当する社内の委員会を通さず出荷されていた。上司でスカイ事業部部長の内山一雄容疑者(58)=同容疑で逮捕=も了承していたという。内山容疑者の部下で同部主査の鈴木昭彦容疑者(49)=同容疑で逮捕=は無人ヘリの開発などを担当していた。

 外為法は軍事転用可能な貨物の輸出に際し、個別に経産相の許可を義務づけている。ヤマハ発動機では当時、「該非判定」を社内の事業部ごとに行っていた。「該当」とされた場合のみ、委員会が開かれ、改めてチェックするシステムだったため、スカイ事業部が「非該当」と判断すれば、一切チェックできなかった。

 ヤマハ発動機は外為法違反容疑で捜査本部から家宅捜索を受けた06年1月以降になって、「該非判定」や取引先の審査で複数のチェックが働く制度づくりなど組織改編を進めた。梶川隆社長は23日の記者会見で、当時の態勢の不備を認めている。

http://www.asahi.com/national/update/0224/TKY200702240305.html