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2007年02月25日(日) 09時53分

万能細胞の論文に「重大不備」 02年ネイチャー誌掲載朝日新聞

 ネズミの骨髄の幹細胞から、多くの臓器になりえる「万能細胞」を作り出した、とする02年6月の米ミネソタ大の研究者の論文について、「重大な不備」があるとの結論を同大がまとめた。AP通信が23日、報じた。

 論文は、キャサリン・バーファイリー博士らが執筆し、英科学誌ネイチャーに掲載された。ネズミから取り出した幹細胞が、脳、心臓、肺、肝臓などの細胞に育つ能力があることが確認できたとしていた。

 しかし、同大の専門家委員会は、育った細胞を確認する過程に問題があり、そのデータに基づく論文の解釈は正しくない可能性があるとした。ただし、捏造(ねつぞう)ではなくミスだとしている。

 骨髄の幹細胞は、一部の細胞に変化し育つ能力が知られていたものの、万能細胞のように働くとはわかっておらず、同博士らの論文は、再生医療につながる成果として、当時注目されていた。

 しかし「同じ結果が再現されない」などの疑問が他の研究者から出ていた。英科学誌ニューサイエンティストが、同博士が別の論文に使った別の細胞の研究データと同じものが論文中にあると指摘。今回の問題が発覚した。

http://www.asahi.com/national/update/0225/TKY200702250079.html