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2007年02月25日(日) 10時00分

入学辞退 学納金を取り戻せ日刊ゲンダイ

 受験シーズンだ。子供はもちろん、親も落ち着かない毎日が続く。わが子の合格を願うばかりだが、受かったら受かったで今度は高額の学納金が待っている。しかし、今年は状況が様変わりしそうだ。昨年暮れ、最高裁は私立大学などに入学辞退者への授業料返還を命じた。返ってくる学納金や手続きはどうなっているのか——。

●授業料は全額
 最高裁は「入学辞退は入学という契約の解除で、授業料など“まだ始まっていないサービスや利益供与の対価”については、辞退者に返還すべし」という判決を下した。2001年4月に施行された「消費者契約法」に基づくもので、大学は「事業者」、受験生は「消費者」というわけなのだ。
「旅行などでもキャンセルすれば払った代金は戻ってきますが、それと同じです。ただ、旅行のときにキャンセル料を取られるのと同じように、大学にも“キャンセル料”があります」(大学経営アナリスト)
 入学辞退のキャンセル料は「入学金」だ。請求すれば返ってくるのは「授業料」「施設料」「諸会費」で、「受験料」「入学金」は戻ってこない。しかし、「入学金」が社会常識から見てベラボーに高いケースでは、“高すぎる分”の返還を求めることができる。

●返還対象となる学校
 4年制大学、短期大学、専修学校、各種専門学校など、ほとんどの学校が返還対象である。
「返還になるのは一般入試で、推薦入学や事実上の優先入試であるAO入学、入学を確約する専願入試は対象になりません」(大学関係者)
 入試要項に「学納金は一切返還しません」と書かれていても、一般入試なら返還しなければならなくなった。

●タイムリミットは3月31日
 新学期の4月からは大学側の新入生向けサービスもスタートするので、それ以降の入学辞退=返還請求は最高裁判決も認めていない。3月31日までに入学辞退の意思を大学側に伝えなければならないのだ(返還期限が3月31日より早い学校もあるので要注意!)。
 では、4月以降はまったくダメかというと、必ずしもそうではないという。入試要項などに「入学式を無断欠席したら入学辞退とみなす」という項目があったら、戻ってくる場合もある。

●どんな手続きが必要か
 最高裁判決では、入学辞退は「口頭でも事足りる」としているが、やはりトラブルの元だろう。
「入学を辞退すること、授業料などの返還を求めることを配達証明つき内容証明郵便で3月31日までに大学に着くよう差し出すのがいいでしょう。電話では受け付けない大学が多いです」(学納金返還請求訴訟の弁護士)

●過去にもさかのぼれる
 授業料などの返還は今年の入試・入学に限った話ではない。3月中の入学辞退が証明できれば、消費者契約法が施行されて以降のケースはすべて対象になるが、スッタモンダは避けられないだろう。
 学校があくまで返還を拒否するようなら、地元の消費生活センターに相談してみる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070225-00000007-gen-ent