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2007年02月24日(土) 08時00分

ヤマハ発動機、「軍と関係」商談メモ 認識し取引か朝日新聞

 ヤマハ発動機(本社・静岡県磐田市)が軍事転用可能な無人ヘリコプターを中国企業に不正輸出しようとしたとされる事件で、静岡・福岡両県警の合同捜査本部が、取引先の中国企業が人民解放軍とのかかわりを自ら明かしたことを記す「商談メモ」を押収していたことが23日わかった。ヤマハ発動機は「警察の家宅捜索を受けた後に軍との関係を知った」と説明しているが、捜査本部は、ヤマハ発動機は人民解放軍とのかかわりを認識しながら取引を続けていたとみて調べている。

 取引先の中国企業は、北京市の「北京必威易創基科技有限公司(BVE社)」。

 捜査本部や関係者などによると、メモは複数枚にわたり、03年12月ごろに作成された。ヤマハ発動機側がBVE社との商談の内容をまとめる形で残したものだという。

 取引当初は、ヤマハ発動機はBVE社が人民解放軍とかかわりがあることは知らなかったとみられるという。

 しかし、「商談メモ」には、BVE社側が商談の中で人民解放軍とかかわりがあることを打ち明け、人民解放軍がヤマハ発動機のヘリの性能を高く評価しており、ヘリが人民解放軍に渡されるという趣旨のことが書かれていたという。

 捜査本部のこれまでの調べで、BVE社は人民解放軍と取引していたことが判明。BVE社の関連ホームページでは、この無人ヘリが人民解放軍の施設内で飛行する映像を紹介していた。また、ヤマハ発動機は01年以降これまでにBVE社に無人ヘリ9機を輸出、このほか、人民解放軍が運営する企業「保利科技有限公司(ポリテク)」へも、別の高性能の無人ヘリを輸出していたことが分かっている。

 ヤマハ発動機はこれまでの朝日新聞の取材に対し、「取引にあたっては相手をちゃんと調査している」と人民解放軍のかかわりについての認識を否定。ホームページについては「我々は(警察の強制捜査後に)言われて初めて分かった」と説明している。

http://www.asahi.com/national/update/0223/TKY200702230379.html