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2007年02月24日(土) 10時00分

救命ボートの中はこうなっている日刊ゲンダイ

 貨物フェリーに当て逃げされたマグロ漁船「幸吉丸」の沈没事故。海に投げ出された乗組員3人を3日間、海と風雨から守ったのが救命ボートだ。実際に目にする機会は少ないが、実は仰天のスグレモノだった——。
 海上保安庁が言う。
「正式には『膨張式救命イカダ』と呼ばれています。円筒形の容器に収納されていて、船舶のトン数によって、常備が法律で義務づけられる。海に投げ込むと水圧を感知して自動的にゴムが膨らむ仕組みです。数年おきの検査時以外は容器を開けることはないため、一般の人が見る機会はほとんどない。非常食や水のほか、ナイフや釣り具が備え付けられたものもあります」
 装備品はゴム製のバッグに詰められ、イカダ内で1カ所に固定されている。天蓋のテントは密閉式のため、雨が入る心配はない。気になるフル装備はどうなっているのか。救命イカダを製造・販売している藤倉ゴム工業(本社・東京)に聞いてみた。
「当社の救命イカダの装備品フルセットは29種類。船のトン数や航行区域でイカダの大きさや装備品の種類・数は違ってきます。幸吉丸の救命イカダは、浮輪、ナイフ、オール、発炎筒、レーダー反射器なども付属していたようです。天蓋のてっぺんに付いていた“ぼんぼり”みたいなものが、そのレーダー反射器。最近は小さな板状のものもあり、これを付けるとレーダーに発見されやすくなる。また、イカダの底には『ウオーターポケット』と呼ばれる袋がぶら下げられ、ここに水が入って抵抗をつくるため、転覆しにくい構造になっています」(設計担当者)
 最近の非常食は乾パンというより高カロリーのビスケットだそうだ。ただ、飲料水は1人当たり0.5リットルが一般的というから少々心もとない。
 ちなみに、幸吉丸のイカダのような5〜6人乗りタイプの値段は50万〜60万円。なんだか、キャンプに行ったようでチョット試してみたい気もするが、遭難はまっぴらゴメンだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070224-00000009-gen-ent