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2007年02月24日(土) 10時00分

満員電車で痴漢扱い!日刊ゲンダイ

 周防正行監督の映画「それでもボクはやってない」が話題だ。満員電車で女性から痴漢呼ばわりされ、まったく言い分を聞いてもらえないまま犯人にされてしまう。こんなことがあちこちで起きている。「痴漢えん罪被害者救済ネットワーク」には、毎日のように相談が寄せられているという。痴漢扱いされたらどう自分を守ればいいのか。

●名刺や免許証で身分を明かす
 映画「それでもボクはやってない」の弁護士役のモデルとなった安田隆彦弁護士は、最初が肝心だと語る。
「絶対に駅の事務所に行ってはダメです。ちゃんと説明すればわかってもらえると思いがちですが、それは幻想です。駅員から警察官に引き渡され、そのまま長期勾留となるケースがほとんどです」
 痴漢に遭った女性はパニックに陥っており、その場で誤解を解いてもらうのはほとんど不可能だ。
「まず名刺や免許証を見せ、自分の身分を積極的に明らかにして下さい。先方の連絡先も確認します。可能ならば、その場に居合わせた人たちの連絡先も聞いておいて下さい。駅員はまったく頼りになりません。痴漢事件の対応に不慣れだし、鉄道会社もそうした教育はしていません」(安田弁護士)

●取り調べでは徹底否認
 それでも警官に引き渡されたらどうすべきか。
「まず弁護士に連絡を取ること。知り合いに弁護士がいなければ、当番弁護士制度というのがありますから、当番弁護士に連絡をしてもらって下さい」(安田弁護士)
 弁護士が到着する間にも取り調べが始まる。ここで警察が持ち出すのが「おまえが犯した罪は迷惑防止条例違反の罰金5万円ぐらいの軽い罪だ。早く認めればすぐ帰れるが、否認すれば長くなる」という懐柔と脅しだ。
「これに乗せられてはいけません。弁護士が来るまでは積極的に否認をして下さい。痴漢裁判の有罪率は99.9%です。苦しまぎれにウソの自白をすれば、間違いなく有罪となります」(安田弁護士)

●調書は自分で読んで確認
 検察は被疑者を逮捕・勾留してから23日目までに起訴か不起訴かを決める。痴漢事件の場合、否認しつづければほとんど起訴される。取り調べのときに武器となるのが「被疑者ノート」だ。
「ノートを取ることは被疑者の権利として認められていて、その日の取り調べ状況、内容、時間、誰に取り調べられたのかなどを記録として残せます。取り調べの不当性を立証する証拠として、裁判で採用されたこともあります」(司法記者)
 取り調べでは調書が作られ、署名・捺印(なついん)を求められる。
「調書は自分で読んで確認して下さい。警察は本人の主張を書いているふりをして、実際には書いてないことがあります。内容を確認して、自分の主張や弁解が盛り込まれていないときは作り直しを求めるか、署名を拒否して下さい」(安田弁護士)
 満員電車の中で女性の横に押しつけられるようなことになったら、両手を上に上げるか、背中を向けるか、痴漢に間違えられない“防衛姿勢”を取ることも肝心だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070224-00000008-gen-ent