記事登録
2007年02月24日(土) 14時55分

お年寄りに「安全大学」 交通事故防止に朝日新聞

 お年寄りの交通事故の増加傾向に歯止めをかけようと、県警と県交通安全協会は5月、警察官らが講師となってお年寄りに交通安全の知識を教える「豊齢者交通安全大学」を開校する。県内全24署に設ける方向で、地域の他のお年寄りに働きかけるリーダー役を養成したい考えだ。こうした取り組みは全国的にも珍しいという。(乗京真知)

 対象者は60歳以上。第一期生は県内全24署でそれぞれ10〜30人、計約500人の受講者を募集する。月2回のペースで約1年間の「講義」(無料)を予定している。

 各署長が「学長」として運営をまとめ、警察署の交通課長や生活安全課長などが講師を務めるほか、市町村長や医師、消防署員など外部からも講師を招く予定だ。

 内容は、基本的な交通ルールやお年寄りが被害にあった事故例を紹介するほか、車の免許を持たないお年寄りも多いため、歩行時や自転車利用時の注意点などの授業も設ける。

 外部講師には、年を重ねると身体機能がどう変わるかや健康管理、自転車整備などを担当してもらう。

 座学よりも、実習に重点を置く。交通事故が多発している現場に出かけて事故原因や注意点を解説したり、心肺蘇生装置の使い方を実践したりする。また、運転免許センターや県警本部の見学も計画している。

 交通関係のほかにも、お年寄りが狙われやすい振り込め詐欺の寸劇や、郡部に多い無施錠の家を狙った空き巣や車上荒らしの防止など、身近な犯罪全般への対処法も伝える。

 卒業生は「地域交通安全活動推進員」として委嘱され、お年寄りが集う地元行事の場などでの指導や、地域のお年寄り宅訪問などを通して、草の根レベルでの交通安全運動に一役買ってもらう。

 アンケートを実施して改善点や希望する講義などを聞き、来年度以降、カリキュラムを練り直していく。将来は「大学院」設置の構想もある。

 06年の県内の交通事故死者は116人で、このうち65歳以上のお年寄りが52人と全体の約45%を占めた。お年寄りの事故件数は1518件で、ここ10年で2倍近くに増えている。

 県警交通企画課は「卒業生が地域の牽引(けん・いん)役として力を発揮するきっかけとなり、住民が連携して身近な危険を回避する意識が醸成されれば」と期待している。

http://mytown.asahi.com/miyagi/news.php?k_id=04000000702240005