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2007年02月24日(土) 14時53分

Iターン30代が古民家カフェ朝日新聞

 ◆過疎・高齢化の羽咋・神子原に一家で移住◆
 ◇来月開店、集落は歓迎 お披露目会にぎわう◇

 過疎と高齢化が進む羽咋市の山間地、神子原(みこはら)地区に3月、古民家を利用したカフェがオープンする。昨年末、妻や幼い子どもと一緒に同地区にIターンし、開店準備を続けてきたオーナーの武藤一樹(いちじゅ)さん(31)は「地域に根ざし、人が集う場にしたい」と夢を膨らませている。

 岐阜市出身の武藤さんは金沢美術工芸大を卒業後、東京の大手レコード店に3年半勤めたあと、同じ美大生だった輪島市出身の妻の香織さん(30)と金沢市に移り住み、コーヒーショップに勤務。「いつか自分の店を持ちたい」と、コーヒー豆の焙煎(ばい・せん)技術などを磨いてきた。

 3年前、羽咋市が始めた「空き農地・空き農家情報バンク」を知り、現地見学会などに参加。神子原地区の中でも特に少子高齢化が目立つ同市菅池町の古民家が気に入り、4歳の長男と2歳の次男を連れて昨年12月、夫婦で移り住んだ。年末には長女も生まれ、若い家族5人の農村暮らしが始まった。

 菅池町は現在、武藤さん一家を含めても28世帯82人の小集落で、約半数が65歳以上。武藤さんは「最初はうまく溶け込めるか不安でしたが、祖父母ほど年齢が離れた住民の皆さんに温かく見守ってもらい、子どもたちの面倒も見ていただいています」。町会長の北原要正さん(67)も「最初はびっくりしたが、集落の行事にも積極的に参加してくれてありがたい。我々もできるだけの協力をしたい」と歓迎する。

 本格オープンを目前に控え、17日には集落の住民を招いたお披露目会を開いた。店内は終日、入りきれないほどの人でにぎわい、コーヒーを囲んで話が弾んだ。これまで集落最年少だった高校3年の山口朋恵さん(18)は「小さい子が3人も来てくれたので活気がでるかも。お店もこれからどうなるか気になります」と話し、一緒に来店した祖母のスズ子さん(83)も「在所も、にぎやかになって、いいわいね」とほほ笑んだ。

 神子原の地名や趣味の音楽などにちなみ、「神音(かのん)カフェ」と名づけた店は3月1日に開店予定。武藤さんが入れるコーヒーと、香織さんが焼く菓子やパンが主体だが、自家製野菜などを使った食事メニューも増やしていく。問い合わせは同店(0767・26・1128ファクス共通)へ。

http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000000702240003