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2007年02月24日(土) 14時52分

県の敗訴が確定 公文書公開取り消し訴訟朝日新聞

■最高裁「上告の理由はない」■

 県の公文書公開をめぐり宗教法人「日香寺」(鳥取市)が開示決定の一部取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(甲斐中辰夫裁判長)は22日、「高裁判決に憲法違反はない」などとして県の上告を棄却し、県の敗訴が確定した。高裁は「県の開示は文化庁の通知に反する」と判断しており、「国の通達行政の妥当性」が訴訟の焦点だったが、最高裁の判断は示されなかった。片山善博知事は「地方分権の理念と原理に無理解だ」とコメントした。

 訴訟は、県が05年に県情報公開条例に基づき宗教法人の財務情報を公開したことがきっかけ。「文化庁が信教の自由が害されるおそれがあるとして原則非開示の通知を出している」とする宗教界と、「国の通知に法的拘束力はなく原則公開」を主張する県側で対立した。

 県は一審の敗訴を受けた06年2月の県議会で同条例を「訴訟中の公文書と同様の開示請求は判決が確定するまで開示を保留する」と改正しており、「最高裁での敗訴はある程度織り込み済み」(県政策法務室)という状況だった。一方で、「地方自治体の自治事務では、国の通達行政に従う必要はない」としてきた片山県政の土台を揺るがす可能性もあり、片山知事は「地方分権の新しい枠組みを最高裁で問い直したい」としていた。

 最高裁は、県側の上告理由を「事実誤認または単なる法令違反を主張するものであって(上告受理の理由となる)憲法違反ではない」とした。高裁の判断が確定したことになり、県政策法務室は「上告は受理されると思っていた。今回の敗訴をどう受け止めるか、難しい状況になった」としている。

http://mytown.asahi.com/tottori/news.php?k_id=32000000702240003