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2007年02月24日(土) 14時51分

四国観光テキストにミス朝日新聞

 四国4県の観光協会が合同で昨年12月に初めて実施した「四国観光検定」の公式テキストブックで誤植や表現の誤りなど、訂正・再検討が必要な個所が複数見つかった。試験前に相次いで発覚したため、当該部分にかかわる出題は見送られた。新年度に向けて、改訂版の発行を検討しているという。

(上田学)

 テキストは、大手旅行会社系列の旅行地理検定協会(本部・東京都豊島区)が昨年6月、1部2100円で初版を6500部発刊。既に約4200部が売れた。2部構成で、1部は自然美、巡礼、歴史文化道のテーマ別に、2部は県別に祭りや郷土料理、特産品、温泉郷、お国言葉などを紹介している。

 ところが、購入者や郷土史家から、「間違いがある」「どのような根拠があるのか」などといった指摘が複数寄せられた。各県の観光協会が調べたところ、内容の間違いや誤解を与える表現が40件以上見つかった。

 例えば、江戸時代に整備された四国の街道については、「諸藩に通じ、江戸幕府との連絡網も高札場の設置などにより整っていく」と解説。しかし、専門家によると、四国の高札場は主に各藩の藩法を示す場であって、幕府との直接的な関係は薄いという。

 さらに、説明で多いのが「三大○○」という表現。鳴門海峡の渦潮を「世界三大潮流」、阿波の土柱を「世界三大土柱」、阿南市加茂町のお松大権現を「三大怪猫伝」とそれぞれ紹介。これらの「三大」には、いずれも根拠がなかった。

 「松山まつり」も「四国四大踊り」とあるが、「四大踊り」の言葉はほとんど使われない。

 テキストは、旅行地理検定協会が各県から取り寄せた観光用パンフレットや資料などを参考に執筆・編集。印刷後に見つけた明らかな誤りについては、正誤表を付けて対応した。徳島県観光協会の大村龍一・総務部長は「ご指摘は、テキストが読まれている証拠で、ある意味ではありがたい。しかし、誤りは放置できないので、専門家の見解も聞きながら、改訂版づくりを進めたい」と話している。

 ◆ 誇張表現許されぬ

 山城町の「こなきじじい」伝説を突き止めた郷土史家多喜田昌裕さんの話 観光用のパンフレットに誇張した表現を使うのは許されるとしても、観光検定の「公式テキスト」に真偽の疑わしい内容をそのまま掲載するのはどうか。歴史的な事実内容も精査する必要がある。今後、改訂版を出すなら、根拠が疑わしいことも合わせて説明するような工夫をしてほしい。

http://mytown.asahi.com/tokushima/news.php?k_id=37000000702240003