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2007年02月24日(土) 01時48分

毎日新聞記者、取材録音漏えい…内容がネットに流出読売新聞


記者が取材記録を第三者に譲渡した問題で、記者会見する毎日新聞東京本社の伊藤・編集局長

 国民新党の糸川正晃衆院議員(32)が国会質問を巡り脅迫された事件に関連し、毎日新聞東京本社社会部の大平誠記者(41)が昨年、糸川議員を取材した際にやりとりを録音したICレコーダーを、無断で「取材協力者」に渡していたことが23日、明らかになった。

 録音内容をもとにしたメモがインターネット上の複数サイトに掲載された。毎日新聞は同日、糸川議員側に謝罪し、大平記者を東京本社代表室付に異動させた。今後、社内調査のうえ厳正に処分するとしている。

 毎日新聞によると、大平記者は昨年4月5日、議員会館で糸川議員と面会。1時間余りにわたり糸川議員が福井市内で脅迫された経緯を取材した。大平記者は同5月、やりとりを録音したICレコーダーを、都内のホテルで取材協力者に手渡したという。

 毎日新聞は、取材協力者の身元については、取材源の秘匿を理由に明かしていない。大平記者と取材協力者との間に金銭の授受などはなかったという。

 取材協力者は今年1月、ブログを運営するメディア関係者にICレコーダーを渡した。その録音内容のメモがブログに掲載されているのを糸川議員側が見つけ、大平記者に指摘。大平記者は一連の経緯について上司に報告しなかったが、一部の新聞社が今月22日に毎日新聞に問い合わせて発覚。大平記者は社内調査に対し、事実関係を認めた。

 毎日新聞は昨年1月、東京・南青山の土地取引を巡る疑惑を指摘する大平記者らの署名記事を掲載。糸川議員は昨年2月の衆院予算委員会で、この記事を示しながら質問した。この質問に絡み糸川議員を脅したとして、警視庁は今月22日、暴力行為等処罰法違反の疑いで前滋賀県草津市長ら2人を逮捕している。糸川議員は「非常に残念だ。マスコミが守るべき最後の一線を越えてしまうと、話せることも話せなくなってしまう」と話している。

 伊藤芳明・毎日新聞東京本社編集局長の話「取材した素材を相手の了解なく第三者に渡した行為は、取材先との信頼関係を失い、記者倫理に外れる行為で決して許されません。糸川議員をはじめ、ご迷惑をかけた方々に深くおわびします」

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070223it13.htm